ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

微かなカオリ

●1-3 広島(17回戦)

 同一カード3連勝を狙った広島とのGame 3は相手に先手を取られ、そのまま敗戦。6回までは0-1と接戦が続くも、7回の2失点が痛かった。打線は8回にダヤン・ビシエドの適時打で1点を返すのが精一杯。明日からは首位・阪神を本拠地に迎える。

金メダリストが帰ってきた

 大野雄大がバンテリンドーム ナゴヤのマウンドに帰ってきた。オリンピック金メダリストにして、我らがドラゴンズのエースだ。あいみょんの『ハルノヒ』に乗せて悠然とマウンドに登る姿から、素直に「おかえりなさい」という気持ちと「無事に帰ってきてくれてよかった」という安堵感が湧いた。

 先の東京五輪ではチーム唯一の代表入り。出番こそわずか1イニングのみだったものの、毎試合ブルペン待機かつ、試合増加時の先発要員として調整を重ねていたそう。正直大変な思いもしたと思うけれど、金メダルをとれてホッとしたところはあっただろう。

 大野の復帰登板にあたり、一つ注目点があった。捕手を誰にするのか、だ。この日メンバー表に書き込まれたのは木下拓哉だった。

木下拓の欠場続きに違和感

 今夜が15試合目の登板となった大野。そのうち13試合で木下拓はコンビを組んでいる。ここまではエースの信頼を勝ち得ていると言って良い。順当といえば順当な起用なのだが、今夜のスタメンは軽いサプライズで迎えられた。特にケガをしているとの情報もない中で、5試合ぶりの先発出場だったのだ。

 後半戦初戦の巨人戦で代走を送られて以来、打席に立ったのは1度だけ。あとはベンチから戦況を見守った。現地で観戦、取材をしている知人たちからは、木下拓がおかしな動きをしているとか、ケガのような兆候はない、と話を聞いた。ここまでシーズンの大半を扇の要としてプレーした捕手である。連勝はしていたけれど、背番号35の欠場続きに違和感は拭えなかった。

 欠場が続いたことの真相は見えないが、出たからにはどういう動きをするのか、気にかけてみようと決めた。

動きに関しては攻守ともに変わりなく

 結論から言うと、プレーに総じて違和感はなかった。

 打撃面はヒットこそ出なかったが、足を高く上げながらタイミングを図るスタイルは変わらず。7回の第3打席では、惜しくもファウルとなったもののレフトポール際への弾丸ライナーを放ち、右飛に倒れた打球もライナー性で鈴木誠也の好捕に阻まれた格好。引き続き相手にとって「怖い打者」であることを印象づけた。

 守りに関して、初回の長野久義を三振にとった際は、持ち前のフレーミングが光った。ボールを取られてもおかしくない低さの直球をストライクゾーンに見せる “高等技術” で、アウトを重ねた。もうひとつ守備面でいうと、6回の本塁クロスプレーでは無駄のない動きで松山竜平をタッチアウトに。しっかりベースを空けながらの捕球、スムーズなグラブさばきを見せた。唯一、盗塁阻止の機会が見られなかったのが残念だ。

 少しブランクが効いてしまったかなと思ったのは、勝負球の選択だろうか。失点を喫した野間峻祥の2本の適時打、長野の適時打はいずれも2ストライクから。野間に打たれたのはともに逆球、甘く入ってのものだった。投手がしっかり投げきる技術は必要として、投手からしての投げやすさの把握や、微妙な嗅覚のようなものは、薄れていたのかもしれない。

捕手王国で頭一つ抜けている男

 現在、チームは捕手4人体制で戦っている。ほとんどの球団が2人or3人制を敷くため、なかなか珍しい状況だ。木下拓、桂依央利、大野奨太、アリエル・マルティネスが一軍に帯同し、二軍にはプロスペクトの石橋康太、郡司裕也と育成上がりの山下斐紹が控える。一昨年の主戦捕手だった加藤匠馬をシーズン途中で放出しても、十分に見栄えの良い面子だ。

 このように「捕手王国」の様相を呈しているドラゴンズだが、総合的にはやはり木下拓が頭一つ抜けていると思う。今季オールスターに選出されたことを鑑みても、他球団からは木下拓が竜の主戦捕手だと見られている。週6で守り続けるのは酷だけれども、せめて週4で使い続けて良いのではないか。

 明日からの阪神戦、扇の要には誰が座るのか。引き続き注目だ。(ikki)