ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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come again

●2-6広島(12回戦)

 前半戦最後のカード、敵地での広島戦Game 1は敗戦。初回に幸先よく先制するも、すぐに逆転を許し、以後は一度も追いつくことができず。連勝は引き分けを挟んで3でストップした。

忌まわしき「6x」以来の一軍マウンド

 4点ビハインドの無死一、二塁をフイにした直後、7回裏のマウンドには背番号12が上がった。田島慎二が一軍の舞台に戻ってきた。

 一軍での登板はおよそ2年1カ月ぶり。2019年6月16日、ZOZOマリンスタジアムでのロッテ戦、忌まわしき「6x」の試合が最後だった。

 その時の田島は9回先頭から登板。被本塁打に加えて2個の四球を与え、わずか1/3回でマウンドを降りた。悲劇のトリガーを引いてしまう最悪の結果で、戦いの場から遠ざかったのだ。

トミー・ジョン手術を経て

 田島は再起を図るも、2020年春には右肘の違和感を訴え、トミー・ジョン手術を受けた。

 かつてクローザーまで上り詰めたブルペンの陣容も変化し、すっかり「過去の人」となっていた。チームはその年、自身のルーキーイヤー以来となるAクラス入り。一時はともに苦しみあった盟友・大野雄大は沢村賞投手にグレードアップしていた。

 迎えた今シーズン。田島はキャンプ初日から打撃投手を務めるなど、順調にリハビリを消化。4月9日、オリックスとの二軍戦で復帰登板を果たした。この時は「マウンドに立てて、ボールを投げられてよかったです。それだけで十分でした」とコメント。その後も遠征での登板、連投テストなどをこなしながら、徐々に状態を上げていった。

 そして、連続無失点試合が15まで伸びていた7月9日。ついに一軍からのお呼びがかかった。

圧巻だった鈴木誠也との対戦

 今夜のマウンドに話を戻す。最初に対峙したのはベテラン・長野久義だった。初球は外を狙うもインコースへの逆球で、見逃しストライク。スライダーが外れた後の3球目、146キロのアウトローを捉えられるもライト正面のライナー。まず1つアウトを取る。

 続く小園海斗にはスプリットをレフト前へ落とされるも、圧巻はここからだった。

 打席には4番・鈴木誠也。先発の大野、2番手のジャリエル・ロドリゲスから3安打を放っており、復帰登板の田島にはタフな相手に思われた。だが、2球続けてインコースへ突っ込んで追い込むと、最後はクイックからの外角スライダーで空振り三振に抑えた。

 鈴木は完全にタイミングを外され、ハーフスイングしかできなかった。侍ジャパンの主砲に中途半端なスイングしかさせない会心の投球。さすが、通算385登板を誇る実績はダテじゃない。バッテリーを組む桂依央利との呼吸もバッチリである。

 その後、田島は坂倉将吾もわずか1球で仕留め、1イニングの役目を終えた。内容は1安打無失点1奪三振。12球を投じ、直球の最速は146キロだった。

後半戦キーマンの一人に?

 無事に復帰登板を終えた田島。勝ちパターンが確立されている現状を鑑みると、またイチからポジションを掴むことになりそうだ。オールスター&オリンピック休暇の間もいまの状態を維持すれば、後半戦のキーマンの一人になるかもしれない。豊富な経験をグラウンド内外で還元してくれたら、チームにも大きなプラスになるはずだ。

 今季でプロ野球生活10年目。区切りのシーズンに第2章を始めた背番号12の生き様をこれからも見守っていこうと思う。(ikki)

 

・田島コメント引用:「ベースボールキング」