ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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主導権は渡さない

○3-1DeNA(13回戦)

 ちょうど一年前の今頃、チーム状態がどん底もどん底だったことを思い出すのは、七夕という分かりやすい日に余程のことがなければ忘れられないような出来事があったからに他ならない。

 とんでもない采配ミスに延長負け、19失点に連日の主力の故障……と、今思い返しても短期間であれだけのネガティブ・インパクトを連発したのはある意味凄いんじゃないかと思えてしまう。

試合の主導権を掴んだ4番打者とのマッチアップ

 昨日の柳裕也に続き、今日の先発小笠原慎之介も中5日の登板で結果を出した。先週、先々週の登板が一体何だったかのような抜群のピッチングだった。それは特にDeNAの4番・オースティンとの対戦に凝縮されていたと思う。

 まずは2回の第1打席。あっさり3球で追い込むと、4球目に投じた低めのチェンジアップはかろうじて止めたバットに当たりファウルにこそなったものの、見るからにタイミングが取れていないスイングだった。5球目のインコースへのストレートは際どいところだったがボール。この1球が効果てきめんで、続く6球目、真ん中付近からすっと消えるチェンジアップにオースティンのバットは空を切った。これ以上ない完璧な配球だったと言える。

 

 だが、どれだけ完璧に抑えても怖いものは怖い。昨年からやられっぱなしの打者にロースコアの展開。いつ手痛い一発を浴びてしまってもおかしくない状況には変わりない。

 4回の第2打席、この打席もチェンジアップで空振りを奪うと、続くストレートにも空振り。オースティンのバッティングは完全に狂わされていた。少し甘いところに入った5球目のチェンジアップはファールにされたが、バッテリーはチェンジアップよりも遅く、曲がりの大きいカーブを勝負球に選び、レフトフライに打ち取った。

 

 そして6回の第3打席は、佐野恵太の技ありタイムリーで同点に追いつかれた直後に訪れた。先制したものの無死満塁で1点しか取れず、その後有吉優樹が立ち直り、打線が手も足も出なくなった上で同点に追いつかれたところでの4番打者という、一気にひっくり返されても何らおかしくない試合展開。

 ところが今日散々苦しめられているチェンジアップの軌道がどうしても消えないのだろうか。オースティンは初球から甘いストレートをフルスイングするもバットに当たらない。いつもであればレフトスタンド一直線のど真ん中ですら空振りしてしまう。

 続く2球目、ワンバウンドのチェンジアップを振らせればもう勝負あり。3球目も同じ球を同じように追いかけ、昨年から散々苦汁を喫してきた4番打者をあっさりと封じ込めてしまった。

 試合の主導権さえ渡さなければ、必ず流れはやってくる。7回も小笠原があっさりと3人で抑えると、その裏、木下拓哉が甘く入った変化球をフルスイングし、打球はレフトスタンドへ一直線。貴重な勝ち越しホームラン。今シーズンバッテリーを組み続けている女房役を、ベンチの小笠原は最高の笑顔で出迎えた。

6勝でキャリアハイ?

 ヒーローインタビューでの「自己最多の6勝目」という言葉が気になり調べてみると、確かにこれまでの最多は2017、18年に記録した5勝だった。なるほど数字上はキャリアハイだが、誰もそんな低い数字で満足できるはずはない。

 今シーズンは開幕からローテーションを守り続け、これでトータル86イニングを積み重ねた。球数がかさみイニングを稼ぐのが難しいタイプの投手ではあるが、今日のように安定して7イニングを投げられるようになれれば、自身初の規定投球回到達、さらには二桁勝利も見えてくる。それは何よりも、借金を抱えるチームに大きな弾みをもたらすことになるだろう。

(yuya)