ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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おまえがしっかり舵を取れ!

△1-1広島(11回戦)

 連続カード負け越しが5で止まるのか、それとも6まで伸びるのか……。首位・阪神と2位・巨人のゲーム差が縮む中、これ以上上位チームとゲーム差が離されるとAクラス入りも厳しくなる。イニングを追うごとに広島に流れが行くゲーム展開、9回の表に3者連続三振を喫したときはサヨナラ負けを覚悟したが、最後の最後に満塁までしておきながら負けなかったことは大いに良しとしたい。

左胸に刻まれる「C」マーク

  「この監督にこの選手あり」 という組合わせがある。例えば川上哲治に王貞治・長嶋茂雄、野村克也には古田敦也、岡田彰布にJFK(ジェフ・ウィリアムス、藤川球児、久保田智之)といった具合だ。それでは与田剛に誰が当てはまるのか、色んな名前が思い浮かぶかもしれないが、高橋周平ではないかと私は思う。

 

 与田政権が誕生して、2018年に不在となっていたキャプテンに任命されたのは高橋だった。セカンドでレギュラーを獲得し初の規定打席到達と2桁本塁打を放った若武者に、新監督はチームの中心になることを求めた。

 天才打者として高校時代から名を馳せ、スカウトからは 「3割、30本打てる打者」 とも評された打撃センスはプロに入ってから伸び悩んだ。長打を目指せば率が落ち、率を残せば長打が出ない。大谷翔平が 「投手・打者どっちが良いか」 という論争が繰り広げられている裏で、中日ファンの間では 「打率を残すか、本塁打を打つかどっちが良いか」 というように、将来の周平像は儚くもネガティブなものとして語られるようになっていた。

 2019年は3割をキープしながら最後に息切れをして打率.293に終わるもベストナインを受賞、2020年も同じように最後の最後に3割を切ったが踏ん張ってキャリア初の3割 (.305) を記録した。セカンドを経験し、劇的に上達した守備では2年連続のゴールデングラブ賞を受賞し、与田ドラゴンズにとって高橋周平という存在は攻守に欠かせない存在となった。

 

 しかし、今年は開幕から調子が上がらない。昨日までの数字で打率.273、5本塁打はここ2年と比較すれば打率は下がっているものの本塁打のペースは上がっている。それよりも打点22という数字に寂しさを覚え、得点圏打率は.200と苦しんでいる。

 3番に復帰してからここまで12試合で4勝8敗、得点圏では13打席連続で凡退が続いている中での今日の試合、さっそく初回に得点圏で打席が回ってくると広島先発・森下暢仁のチェンジアップをライトへ運び久々のタイムリーヒットを記録した。

 昨日までのOPS.724は、通算のOPSよりも高く、初めて規定打席に到達した2018年の.704よりも高い。それでも高橋に厳しい目が向けられるのはAクラス、優勝を狙うチームにとって、これまで以上の数字を残してチームを勝利に導くことを絶対条件とされているからだろう。

なんともないシーンに何を思ったか

 5月28日の日本ハム戦、9回表の出来事だった。高橋に代打、井領雅貴が告げられた。9点ビハインドの最終回ということもあり誰も何も気にしない場面だったが、これが与田監督になってから初めてキャプテンに代打が送られた瞬間だった。9試合連続安打を記録したすぐ後の打席、高橋は何を思っただろうか。

 与田監督は3年契約の最終年。日本一の可能性がなくなるBクラスが確定すると、続投の可能性も低くなってくる。消化試合の数が多くなれば、チームは若手へとシフトしていく。しかもサードの代わりとなると石川昂弥という逸材がいる。

 いくらキャプテンの高橋といえど例外ではないだろう。いや、監督に一番期待を寄せられている高橋だからこそ、 「その時」 が来たときの立場は一気に厳しいものになってしまう。

 残り71試合で借金6という数字は、昨年と1つしか変わらない。これからのキャプテンの舵取り一つひとつが、チームだけでなく、多くの人の野球人生を左右しそうだ。

(yuya)