ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

THE DAY

●0-6阪神(11回戦)

 1勝1敗で迎えた阪神とのラバーマッチは完敗。投手陣は小刻みに得点を奪われ、打線は8安打を放つも得点はゼロのまま終了。これでドラゴンズは5カード連続負け越し。得意なはずの本拠地でも悪い流れを止められなかった。

野球人生を懸けたマウンド

 先発マウンドには岡野祐一郎が上がった。

 2年目ではあるが遅めのプロ入りゆえ、4月に27歳を迎えた右腕。本人も承知の上だと思うが、1試合1試合が勝負の状況に置かれている。今季初登板となった前回登板は、味方の拙守も絡み4回6失点KO。同じ失敗は繰り返せない。今夜は大袈裟でなく “野球人生を懸けた” 登板だ。

 しかし、結果は無念の2試合連続敗戦投手となった。

 悔やまれるのは3回裏の打席だ。安打の郡司裕也を一塁に置き、岡野は送りバントの構え。だが、初球をファウル、1つボールを挟んだ後の3球目は真ん中直球を空振りして追い込まれる。

 続く4球目、ジョー・ガンケルの高めカットボールを前に転がせずにスリーバント失敗。その後、打線も得点を挙げられず、岡野のバント失敗が悪い方に目立ってしまった。なお、ガンケルは同じ回、同じシチュエーションでスリーバントを決めて得点につなげただけに、好対照である。

 岡野はその後、4回が2死から点を失い、5回は先頭から連打を浴びて降板。代わって登板した藤嶋健人が走者を還したため、都合4失点を喫した。

不運もあるけれど

 結果論になるかもしれないが、どうしてもセ・リーグの先発投手は打席の面でも評価されてしまう。安打が打てなくても、送りバントであったり、少し粘ってみたり。「自援護」というネットスラングがあるぐらいなので、ないがしろにはできない。

 件のバント失敗が二軍も含めて今季初打席だったのは不運かもしれない。それでも、1試合1試合が勝負の立場ならば、どういう形であれ決めてほしかった。

 前回登板もそう。先頭打者を失策で出してしまったのは同情するが、歯止めの効かない打たれ方をするのは避けられたはず。

 昇格するタイミングだってそうだ。5月末までは二軍で無双をしていても、直近の登板では5回持たずに降板。「ちょっと遅いんじゃないか」という声はあったものの、一軍との兼ね合いがある以上、必ずしも最高の状態で昇格はできない。

 今季の岡野には不運がつきまとうが、突き放した言い方をすると、その不運も含めてプロ野球。不運があっても、それを乗り越えるなり、叩き壊すなりして全力でやりきり、一流選手へと上り詰めていく世界だ。

ベンチマークは身近に

 ここで、先月のファーム月間MVP受賞後、岡野がYou Tubeで語っていたことを思い出す。

 「柳の存在は高校時代から、自分にとってはすごい刺激がありましたし、自分も負けてられない気持ちに何年経っても、今でもすごい思わせてくれる選手です(※原文ママ)」

 そうだ、ベンチマークすべき存在は身近にいた。同級生のエース・柳裕也も様々な不運や不遇を乗り越えて、今の立場をつかんでいる。投球にしろ打撃にしろ、今シーズンは特にその場その場を全力でやりきっているのが伝わる。岡野は気持ちを表に出すのは苦手なようだが、そういう必死さみたいなものは求められるのではないか。

 降板後のコメント「この反省を次に生かしたいです」の「次」はいつ訪れるかわからないが、プロ野球選手である以上は、その「次」のために全力を尽くすもの。背番号36の「次」に訪れる “その日” を待ちたい。【ikki】

選手コメント引用:「中日ドラゴンズ公式You Tubeチャンネル」「中日スポーツ」