ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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はじまりはいつも雨

○7-3ヤクルト(10回戦)

 交流戦明け一発目の神宮シリーズGame 2は白星を勝ち取り、カード1勝1敗のタイとした。これが神宮球場での今季初勝利で、先発野手全員安打の7得点と打線が活発だった。

雨の6月19日、神宮といえば

 神宮球場のある東京地方は朝から雨が振り続けた。

 6月19日、そして雨の神宮といえば、まだ記憶に新しい昨季の開幕戦を思い出す。

 新型コロナウイルス拡大の影響により、通常に比べ約2ヶ月半遅れてのシーズン開幕。この日を待ちわびたはずのファンは球場内に入ることができず、無観客での開催に。梅雨空に覆われ、グラウンドコンディションが悪く、かつファンの後押しが感じられない中でも、ドラゴンズナインは身を粉にしながらプレー。見事に、4時間49分の激闘を制した。8年ぶりのAクラスはあの日から始まったのだ。

 翻って今日は、制限こそあっても有観客での試合開催。筆者も三塁側内野スタンドから観戦することができた。雨に降られても、選手たちの躍動を目の前で観られるだけで幸せに感じなければバチが当たると、しみじみしてしまった。

逆襲のキーマン

 この神宮シリーズが始まる前、与田剛監督は逆襲のキーマンに高橋周平と阿部寿樹の2人を挙げた。

「2人の状態はよくなってほしい。本人たちが『このチャンスで1本』という悔しい思いを何度かしたと思う。より2人の力っていうのは必要になります」

 ともに現体制になってからは内野の要を担うが、ここまでは本領発揮できない状況が続く。高橋周は全試合スタメン出場しているものの、阿部に関してはスタメンの座を剥奪され、堂上直倫や三ツ俣大樹に出場機会を提供してしまっている。

 もちろん堂上、三ツ俣の活躍も嬉しいのだが、2人はベンチにいてくれたほうが有り難いタイプの選手。このまま彼らが軸となってシーズンを終えることは想像し難い。いま二軍にいる京田陽太も含めて、キーマンたちの復調が巻き返しには必要だ。

際立った阿部の粘り

 キーマンの一人・阿部は8番セカンドで先発出場。6月10日の楽天戦以来となるスタメンだ。今日は打席での「粘り」が際立った。

 以下、打席ごとにまとめたい。

  • 第1打席:1点を先行された2回表、1死一塁で登場。フルカウントから3球連続ファウル。10球目に四球を選ぶ。粘っているうちに雨が本降りから小雨に変わるほどの長さ。この後、大島洋平の適時二塁打で逆転の生還。
  • 第2打席:1点を追う4回、1死一塁での打席。この打席もフルカウントに持ち込み、6球目を左中間へ安打。相手守備の乱れに乗じ、一走の福田永将は三塁へ。この後、再び大島洋平の適時打が飛び出し、阿部は本塁に生還。結果的にはこれが決勝点に。
  • 第3打席:5-3でリードの6回、先頭打者として登場。ここでもフルカウントに持ち込み、迎えた7球目、大西弘樹の146キロ直球を捉え、左中間へ4号ソロ! 阿部らしいライナー性の当たりで、本人は「しっかり自分のスイングで打てました」とコメント。
  • 第4打席:8回、木下拓哉&福田の連続二塁打で1点を追加し、なおも無死二塁で打席へ。2球で簡単に追い込まれるも、直球をファウル、変化球を見送り続ける。フルカウントから、10球目の高めに浮いたフォークに反応せず。四球をもぎ取る。

大事なのは「続ける」こと

 今日の阿部は4打席すべて内容のあるものを見せてくれた。一人で計33球投げさせ、これはヤクルト側が投じた5分の1を阿部に費やした計算になる。明日以降にも相手に響くダメージはあったのではないか。

 一方、阿部にとって大事なのは、明日以降も「続ける」ことだ。これまでも「そろそろ厳しい……」と思ったところで印象的な活躍をして、次の日も先発出場。そこからどんどんジリ貧になって、また崖っぷちで活躍して……の繰り返し。また今回も同じようにならないためにも、むしろ明日の阿部がどうなるのかに興味をひかれる。

 高橋周にも言えるが、不振を取り返すには、1試合だけでは全然足りない。快進撃は今日から始まったんだと言えるように、期待したい。【ikki】

 

監督・選手コメント引用:「中日スポーツ」