ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

プラトー

●2-5楽天(1回戦)

 敵地・仙台に乗り込んでの楽天3連戦、Game 1は逆転負けを喫した。エース・柳裕也が先発するも粘りきれず、7回途中5失点と敗戦投手に。柳に黒星がついたのはなんと開幕2戦目、3月27日の広島戦以来とのこと。打線は福田永将の先制弾や木下拓哉の適時打こそあったものの、今夜も好機で一本出ないのが目立ってしまった。

 

根尾、18打数ノーヒット継続中

 試合終了の瞬間、バッターボックスにいたのは根尾昂だった。溝脇隼人の代打で登場した背番号7はカウント2-1から打ち上げ、キャッチャーへのファウルフライ。松井裕樹&太田光の楽天バッテリーは4球すべて直球を選択。バッティングカウントになっても変化球を投じることはなかった。

 点差に余裕があったかもしれないが、今の根尾には変化球など必要ない。そう言われても仕方ない気がした。なにせ、現在18打席ノーヒット継続中。最後にヒットが出たのは5月28日、札幌での日本ハム戦で、交流戦期間中はこの1本のみ。シーズン通算の打率は.176まで下がった。

「オーバースイング」「構え遅れ」「打撃フォームの “間” が取れていない」など、打てない理由はいろいろ思い浮かぶ。ニュースを見れば評論家が、Twitterを見れば有象無象のファン達が似たようなことを指摘している。

 ただ、それが全て合っているかどうかはわからない。本格的な一軍参戦が初年度ゆえ、心身ともに感じたことのない疲れが襲って、思うように振れていないのもあるかもしれない。

 

外野守備はリーグ屈指のクオリティー

 打撃は苦しんでいる根尾だが、外野手としての守備はすでにリーグ屈指のクオリティーを見せている。

 デルタ社によると、補殺や進塁阻止などの送球貢献を示す「ARM(arm ratings)」はリーグでダントツの4.2を記録(6月8日現在、以下同)。2位の青木宣親(ヤクルト)が1.6なので、その傑出ぶりが分かる。

 また、全般的な守備貢献を示す「UZR(ultimate zone rating)」も外野手でリーグトップの5.9をマーク。レフトとライトの合算ではあるが、両ポジションでプラスの数値を叩き出している。

 実際、先の日本ハム戦では打球を地面スレスレで好捕すると、持ち前の強肩で三走の本塁突入を阻止。6月4日のオリックス戦でもピンチを救うスライディングキャッチを披露している。その外野守備がドラゴンズの強みの一つになりつつあると同時に、彼が一軍に居続ける大きな理由なのだろう。

 

球宴ファン投票、中日勢で最多得票を獲得

 開幕から一軍に帯同し続けて2ヶ月半近く。根尾は度々インパクトのある活躍を見せている。開幕スタメンでいきなり好捕&安打、立て続けのお立ち台、打点を挙げた際の不敗神話、極めつきはプロ初アーチが満塁弾の離れ業。サカナクションの『モス』に乗って打席に立ち、登場からの盛り上がりはチーム随一だ。

 オールスターのファン投票では、中日勢で最も多い44,787票を獲得。セ・リーグ外野手部門の5位につけ、当選圏内との差は3万票弱。外野手には3人まで投票できるとはいえ、成績を考えると大健闘だ。

 一方で、最も根尾に投票しにくいと思っているのは、ドラファンなのではないか。それはやはり成績、打撃の内容が原因と考える。期待が大きいだけに、試合をよく見ている人ほど躊躇い、得票数の多さに戸惑うはず。現に自分がそうだ。

 ファン投票で選出されたドラ戦士は2018年の松坂大輔が最後。せっかくの機会だから、根尾を夢の球宴に選出させてあげたい。そのためには、インパクトのある活躍、なんならあの満塁弾を超えるようなものが見たい。けれどその前に、まずはどんな形であれ1本のヒットを――。【ikki】