ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

好感度ポイントは貯めてください

●0-4オリックス (3回戦)

 対オリックスではなく、対福田周平。とにかく彼にしてやられた試合だった。2回表、先発の福谷浩司がT-岡田と伏見寅威のタイムリーで2点を先制されてしまう。2死を取ったところで迎えたのが1番・福田だった。16球の死闘の結末は、痛恨の中前安打。オリックスの拙攻によって2失点で済んでいたものの、粘り負けしてしまい、傷口を広げてしまった。

 続く打席でも福田にレフト前にはじき返されて、致命的な4失点目。前の打席の再現VTRを流されているような失点だった。あとは残りのイニングをいかに平穏に終えるか。毎年のペナントレースで時折見かける、どうにもならない試合となってしまった。

 

慎重かつ大胆に

 福谷が何とか6回までたどり着いた後を引き継いだのが、ランディ・ロサリオだった。今シーズンからドラゴンズの一員となった助っ人は、オリックス3連戦の初戦となる6月4日以来の登板。シチュエーションは前回の登板と同じビハインドの場面だが、この日は1番からの好打順を相手にしなければならない。それは絶好調の福田に加えて、3番を打つ「パ・リーグ最強打者」の吉田正尚との対戦が待っていることを意味する。

 仮に煩(うるさ)い先頭打者の出塁を許し、主砲に手痛い一発を浴びるようなことになると、壊れそうで壊れなかった試合が一瞬にして台無しになってしまう。この試合の命運が阿波野コーチからロサリオに託されて、福田との対戦を迎えた。

 いきなりのプレッシャーのかかる場面で、ロサリオが選択したのはストレート勝負。内角高めのボール球から入ると、2球目はファウルを打たせて1-1。平行カウントから145キロのストレートを外角に投げ切ってショートゴロに打ち取った。

 嫌らしい先頭打者を簡単に打ち取ったものの、続く2番・宗佑磨にセカンドへの内野安打を許してしまう。打席の内容は完全にロサリオが優勢。だが、打球が飛んだコースがアンラッキーだった。そして、1死一塁で迎えるは3番・吉田正。ここで踏ん張れるかが、背番号42がジャパニーズドリームを掴むことができるか否かの分かれ目になるかもしれない場面だ。

 現在のパ・リーグ首位打者に対して、27歳のドミニカンはこれまでのストレート中心から一転、スライダー中心の配球に切り替えた。初球にストレートでストライクを取ると、2球目からは3球連続でスライダー。迎えた1-2からの5球目。ロサリオがウイニングショットに選んだのは、スライダーではなく149キロのストレートだった。

 ストレートを打ち返した吉田正だったが、打球はショートへのゴロ。6-4-3と渡ったが、アウトは二塁のみ。しかしながら、ロサリオは文明の利器に救われた。一度は塁審の両手が広がったが、時を置いてアウトに変わり、併殺が成立。見事3人でイニングを乗り切り、試合を壊すことなく次の投手にバトンを渡した。

 

家に帰るまでが遠足

 一軍昇格以降、圧巻の投球を見せているロサリオだが、自身の立場が安泰になる日はまだ先だ。まずはチーム内で確固たる地位を築くために、外国人枠を巡る熾烈な争いに勝たなければならない。現在、一軍登録されている外国人選手はロサリオとダヤン・ビシエドの2名。だが、五輪予選で留守にしているライデル・マルティネスとジャリエル・ロドリゲスが復帰すると競争は一気に激化する。

 さらに、ライデルとジャリエルのいるキューバ代表が早々に予選で姿を消したことによって、思いのほか復帰の時期も早くなるかもしれない。そうなってくると、クローザーのライデルで枠の一つが消えてしまうと、残る枠は2つ。離日するまで、先発ローテーションの一角を担っていたジャリエルとロサリオがそのまま嵌まれば問題はないかもしれない。

 しかしながら、それではチームにとってプラスにはならない。故障からの復帰を目指すアリエル・マルティネスや、再昇格を目指すマイク・ガーバーがいて初めて競争になってくるのだ。

 それまでに背番号42の存在感が増してくるようなことがあると、ワクワクするバトルが勃発するはずだ。あとは、ライデルとジャリエルの到着を待つのみ。お二人ともどうかご無事で。

(k-yad)