ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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たとえたとえ

○7-4日本ハム(2回戦)

 敵地・札幌ドームで戦う日本ハムとのGame 2はシーソーゲームを制し、1勝1敗のタイとした。打線が活発で、11安打7得点をマーク。特に3番に入った福留孝介の4安打はお見事だった。また、イニングまたぎこそ失敗したが、橋本侑樹の火消しも見応えがあった。

 

あの「長い夜」以来の右翼スタメン

 2番ライト・滝野要。スタメンを見て、あの夜を思い出さないわけにはいかなかった。

 滝野は今季3度目の先発出場だがライトでは初めてで、昨季10月27日の阪神戦以来とのこと。日付とカードを見て、当ブログを長く読んでいる人なら思い出すかもしれない。そう、『滝野の長い夜』以来の右翼スタメンなのだ――。

 簡単に振り返ると、滝野は打球の目測を誤る拙守で決勝点を与え、キャリア初の先発出場を自ら屈辱まみれにしてしまった。個人的にもあの日は甲子園球場の三塁ベンチ上で観戦しており、俯きながら戻ってくる滝野の姿が可哀想で直視できなかったのを思い出す。ベンチの選手たちもどう接すればよいのかと、戸惑うような雰囲気を感じた。

 あの日以来、試合途中から右翼に就くことはあっても、スタメンはなし。球場も相手も違うけれど、ついに “やり返す” チャンスが訪れた。

 

守備機会は5度、うち3度アウトに

 今日の試合、滝野の守備機会は5度。うち3度はアウトになる飛球をさばいた。いずれも無難にこなしていた印象だ。

 特に6回は3度打球が飛んできて、2度アウトに仕留めた。先頭・渡邉諒のライト線への飛球は回り込んでキャッチ。4-4とされてからの2死二塁、五十幡亮太の捉えた当たりもほぼ正面だったとはいえ落ち着いて処理した。

 何も難しい打球を捕れとは言わない。捕れる打球をアウトにしてくれるだけで、信頼は少しずつ積み重なっていく。

 

打席ではプロ初の長打

 一方のバッティング。試合前まで18打数2安打、打率.111とお世辞にも好調とは言えず、最後の安打は3月31日の巨人戦まで遡る。それでも2番に置いたのは、足の速さを買ってか。相手先発のドリュー・バーヘイゲンはクイックの遅い投手で、何かしらの形で出塁すれば……といったところだろう。

 すると、1点リードの6回、先頭打者の滝野はバーヘイゲンの投じた高速チェンジアップを捉え、センター後方への大飛球を放った。打球は右中間真っ二つ、ワンバウンドでフェンスに達する。ライトの淺間大基が送球する頃には、滝野は二塁を回っており、快足を飛ばして三塁打となった。これがキャリア初の長打、しかもスリーベース。シュアな打撃が売りの背番号51が派手な一撃を見せた。

 直後に福留のタイムリー二塁打が飛び出し、滝野は難なく生還した。初回の先制につなげる進塁打も合わせて、5打席中2度は得点に貢献。2番打者としては及第点の働きだったのではないか。

 

たたき上げゆえのひたむきさ

 攻守で着実に成長を見せる滝野だが、いまの立場は一軍野手の中で下から数えたほうが早い。

 足の速さなら高松渡が上。打撃は井領雅貴のほうがベンチの信頼度は高そう。外野守備も武田健吾に一日の長がある(実際、9回裏の守備は武田に譲っていた)。すべてにおいて2番手以下の立ち位置だ。

 それでも、今後も滝野が一軍に生き残るには、日々の出番をそつなくこなし、そして今日のようなチャンスで合格点を出し続けるしかない。ドラフト下位指名ゆえ、優先的に育成対象となる1位指名の選手とレールが違うのは受け入れざるを得ないのだ。本人だってきっと分かっている。

 だからなのか、滝野のプレーを見ると、たたき上げゆえのひたむきさを強く感じる。ひたむきさと言うと、ともすればアマチュア選手のようかもしれないが、それは決して悪いことではない。むしろ心を動かされることだってある。明日以降も持ち前のひたむきさでチームに良い循環をもたらすことを期待したい。【ikki】