ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

凱旋登板

●1-10 日本ハム(1回戦)

 エース大野雄大が大量失点で早々にマウンドを下り、二番手の山本拓実は制球が安定せずに押し出し2連続を含む4失点。今シーズン初のチーム二桁失点を喫すれば、打線も日本ハムのドラフト1位ルーキー・伊藤大海に手も足も出ずわずかに1得点。

 一方的な展開にしびれを切らし  「まーかん、だあれも活躍できせん、こんな試合見てられぇせんわ!」 などと言って他の試合に切り替えたり、動画視聴やゲームに勤しんだり、好きな音楽を聴いたり……なんて思い思いの金曜日の夜を過ごした人も少なからずはいただろう。

 

 ありきたりではあるが、今日のような展開は長いシーズン143試合もあれば必ず訪れる。あの最強だった2006年でさえ4月だけで二桁失点を3度喫している。

 大量得点差で負けることが全てダメ、という訳ではない。明日に繋がる何かを見いだしたり、試合の中で光るモノを見せた選手に次の期待を寄せたり、展開なりの楽しみ方は必ずある。もちろんあっさり野球から離れることも良い選択肢だ。

 

プロ入り初の二軍落ち

 ところで朝からツイッターのタイムラインは騒がしかった。京田陽太が二軍降格ーー。

 プロ入りしてから4年間、一度も二軍に落ちることがなかった京田がここに来てキャリア初の二軍落ち。先週までは横浜で大暴れしたり、6試合連続安打を続けていたが日曜日からスタメン落ち。ソフトバンクとの3連戦は2試合途中出場したものの結果は2打席2三振と結果を残せなかった。

 最短で一軍に戻ってくるとしても10試合以上京田の名前がスタメンから消えるのは、この5年間で初めての出来事だ。

 京田がいなくなることで代わりに一軍に昇格した堂上直倫なり、今日のスタメン三ツ俣大樹なりがショートを守ることになる。彼らの守備力も十分ショートを任せられるものがあるが、周囲の選手の守備位置、サインを出す癖、声をかける間合い、リズムなどがこれまでとは変わってくる。ルーキーイヤーからスタメンで出ずっぱりのショートを二軍に落とすことは、すなわち野球そのものを変えていくことになるだろう。

 抜群の守備範囲で何度も中日の投手陣を救ってきた京田が不在の間、どういう戦いになるのかは注目してみたいところだ。

 

札幌学院大学初のプロ選手、凱旋登板

 9点ビハインドの8回裏、近藤廉がプロ初の一軍マウンドに立った。つい半年前まで過ごしていた北海道での凱旋登板。先頭の大田泰示には安打を許したものの、続くロドリゲスから空振り三振を奪うなど1回を無失点に抑えた。

 背番号202で迎えたシーズンもキャンプ中から 「面白い存在」 と言われ首脳陣からの注目を浴びると、対外試合でも結果を残し続けついに勝ち取った支配下登録。背番号は70になった。

 どんな試合展開であっても、近藤にとっては記念すべきプロ初の一軍出場だ。彼の家族、友人、チームメイト、関係者すべてが固唾を飲んで経過を見守っていたことだろう。 

 「次、行くぞ」 と言われ名前をコールされてから1球目を投げるまでの緊張感であったり、イニングを完了して緊張からの開放であったり、全てが近藤にとって忘れられない出来事になったはずだ。

 その一軍初登板の舞台を、私はDAZNで観戦していた。普段から日本ハムの試合を中継しているアナウンサーに、日本ハムOBの解説者という中ではあったが、試合展開も手伝って8回裏の1イニングは近藤にスポットライトを当て続けてくれた。

 縁のある地でのプロ初登板を無失点に抑え、ベンチ前で野手とタッチを交わし一段落がついた後、福留孝介から記念のボールを渡されたシーンもしっかりとカメラに収まっていた。

 育成から這い上がった男のプロ初登板。これから続く彼の野球人生のスタートをこの目で見ることができて、またこうして書き残すことができたことは光栄だ。繰り返しになるが、大量得点差の敗北にもそれなりの楽しみ方は必ずあるのだ。
(yuya)