ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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群青

△3-3ソフトバンク(3回戦)

 ソフトバンクとの交流戦開幕シリーズGame 3はドロー。初回から3点を追う展開だったが、木下拓哉の一発で振り出しに戻して、以後はスコア動かず。3連戦3連勝のスイープこそならなかったが、4年連続日本一の王者相手に2勝1分けの結果は上出来も上出来だ。

 

立ち直った勝野と「困った時のタニモン」

 今日の先発は勝野昌慶。先週は雨天中止の関係でローテを1回飛ばし、中12日のマウンド。その影響か、初回は3本のタイムリーを浴びて3失点。四球も絡み「今日は難儀だな……」と思っていたら、2回以降は人が変わったかのような快投を披露した。

 2~5回は被安打1本のみの無失点ピッチングで7個の三振を奪い、与えた四球は0。いつものようにストレート、フォーク中心の組み立てではあったが、時折投げるスライダーがゾーン内に入り、相手打線も攻略に手を焼いたように見えた。その間に木下の同点3ランが飛び出し、快投が報われた。

 その勝野が90球に差し掛かった6回、2死一、三塁のピンチをつくってしまう。こうなると、谷元圭介の出番。GWに2試合連続失点を喫してからはイニング途中の登板が続いており、颯爽とピンチの芽を摘む。今夜も松田宣浩をサードゴロに仕留め、「困った時のタニモン」の面目躍如である。

 

祖父江、復活の兆し?

 ゲームは終盤へ。7回のマウンドは祖父江大輔が上がった。祖父江は5月18日以来と久々の登板。直近3試合はいずれも失点を喫しており、どうなるかと思ったが、見事に三者凡退に抑えた。

 とりわけ、明石健志を見逃し三振にしたバックドアのスライダーは素晴らしかった。外角のボールゾーンから小さく曲がってストライクゾーンギリギリへ。プロ18年目、百戦錬磨のベテランをもってしても手を出せない絶妙なコントロールに、昨季の輝いていた頃を思い出した。

 

心躍る橋本の “無双”

 8回は橋本侑樹が登板。ビハインドで出ることの多かった若き左腕がついに、Aチームに加わるかどうかのテストに駆り出された。福敬登が連投していたことも関係しているだろうが、勝負のマウンドだ。

 結論から言うと、今夜は橋本のピッチングに最も心が躍った。栗原陵矢、柳田悠岐、中村晃という、強さとしぶとさを兼ね備えるクリーンアップを敵に回して “無双”。栗原を外のスライダー3連発で見逃し三振、柳田悠岐にはすっぽ抜けも逆手に取り内野ゴロ、中村晃もわずか2球で内野ゴロと、文句のつけようがない内容で抑えた。

 正直、これまでの橋本は、「投げているボールは素晴らしいが、 “出たとこ勝負” 感のある」投球が続いていた。ただ、今夜の投球を続けられるのなら、ベンチとしては安心してマウンドに送り込めるはず。ブルペン陣の用兵がより厚くなるに違いない。

 

又吉、3連投も危なげなく

 橋本が無双したその裏、ランナー2人を置いて福留孝介の大飛球はファウルに。勝ち越せば橋本にプロ初勝利の権利が転がってきたが、物事はそうそう上手くいくわけもなく。結局福留は凡退に終わり、同点のまま9回は又吉克樹がバトンを受け取った。

 又吉の3日続けての登板は今季初(※4試合連続登板があるが、休みを挟んでいる)。9回打ち切りの特別ルール、そして明日の先発がエース・大野雄大だからできる采配だろう。そこで危なげなく三者凡退に抑えるのはさすがだ。

 ベンチにはまだ、大砲のウラディミール・バレンティン、当代きってのスプリンター・周東佑京が控えており、走者を出していたらこの2人のコンボを講じられた可能性が高い。失点リスクを未然に防ぐのはリリーバーの基本だ。

 

やはり、ホークスは強い

 3日間を通して感じたのは、やはり「ホークスは強い」ということ。これでも千賀滉大や森唯斗、リバン・モイネロにジュリスベル・グラシアルらが不在であることに戦慄する。

 一つひとつのプレーの質と力強さ、選手層、ベテランの存在感と行動力など、ドラゴンズが学ぶべき点は多い。とりわけ印象に残ったのは、牧原大成の機動力あふれる守備と栗原の硬軟織り交ぜた打撃、岩嵜翔の快速球あたりか。サード松田が絶妙なタイミングで行う声掛けも印象深い。

 それでも、今カードを勝ち越したのはドラゴンズだった。本拠地の利を活かし、王者とがっぷり四つに組んだ。今回取り上げたのは投手陣だったが、野手陣も効果的な得点を挙げて勝利に貢献。見応えのあるシリーズを演出した。

 まさに、束になって相手に襲いかかる。チーム一丸となっての戦いぶりに、明日以降の希望を見た。【ikki】