ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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まあ一本、まあ一本

●4-5巨人(10回戦)

 「まあ一本、まあ一本」と今晩のおかずがワヤになってまうほど毎日のように「あと一本、あと一本」に泣き続けている今季のドラゴンズ。

 9回裏2死満塁まで追いつめながら「あと一本」が出なかった昨夜に続き、今日も1死三塁まで行きながら、やはり「あと一本」が出ずに敗北を喫した。

 もはや今季のドラゴンズに得点を期待すること自体が難儀なのか。今日でシーズン44試合消化。残り100試合を切っても、苦行のような貧打に改善の兆しは一向に見えてこない。

 

キャッチャー石橋

 昨日に続いてなりふり構わぬ継投をみせる原巨人に対して、今日はドラゴンズ首脳陣も杓子定規に当てはまらない柔軟な采配を振るった。驚いたのは8回表、前の回に代打で登場した石橋康太をそのまま捕手につかせ、6番・木下拓哉のところに投手を起用した場面だ。

 木下はここ5試合でわずか1安打(16打数)と不振を極めており、直前の打席でもあっけなく空振り三振を喫している。内容だけ見れば交代もやむを得ないだろう。とはいえバンテリンドームでの2発を含む4本塁打など、チーム随一の打力を誇る正捕手だ。大量ビハインドならともかく、この時点でまだ2イニング残して3点差。なかなか思い切った判断といえよう。

 一方、石橋からすれば貴重な出場機会だ。昨季は一度も昇格することなくひたすら二軍で研鑽を積み、OPS.818と高い数字を残した。いわゆる「二軍でやることはない」状態となり、今季は開幕から第二捕手としてベンチ入りを続けている。

 しかし正捕手・木下の壁は厚く、かと言って代打としての序列も低いため文字どおりベンチを温める日々が続いた。今日の出場からして一週間ぶり。前回15日のヤクルト戦ではスタメンマスクを任されて安打も放ったものの、まだ首脳陣の信頼は勝ち取れていない現状だ。

 代打に送られた7回裏は、1死一、二塁で4-6-3のダプルプレーを叩く最悪の結果に終わった。これでお役御免かと思われたが、次のイニングにもマスクを被って登場。藤嶋健人、ライデル・マルティネスを導いて2イニングを0で切り抜けた。

 

無死二塁、送りバントの是非

 そして問題の9回裏である。無死二塁。ランナーは高松渡。高松の足ならヒット1本で生還できる可能性も高く、またそうなれば、たちまちサヨナラのチャンス到来だ。あるいは石橋のプロ1号がこの場面で飛び出せば最高に劇的な幕切れになる。夢ばかりが膨らむ中で、ベンチのサインは「送りバント」だった。良くも悪くも無難。たしかに引き分け狙いの消極的な采配なのかもしれない。

 ただ、それも仕方あるまい。前の打席でのダプルプレーもさることながら、打率もこの時点で.182と期待値は限りなく低い。「長打力を秘めたプロスペクト」とはあくまで周りが思い描くロマンであって、現時点の石橋はまだ何一つとして仕事らしい仕事を果たしていない下っ端の中の下っ端なのだ。

 ましてや試合を左右する重要な場面。打てば値千金だが、そうならない可能性の方が8割以上も高いのだから、無難に送らせようとなるのは至極当然だろう。何しろネクストに控えるのは3割打者の大島洋平なのだ。無死二塁で石橋の一打に賭けるのと、1死三塁で大島の “最低限” に賭けるのとでは、どちらの期待値が高いか? 迷わず前者を選ぶのは生粋のギャンブラーくらいのものだろう。

 ガチガチに気負ってもおかしくないバントを一発で決めた石橋。こうなりゃあとは大島先輩頼みなわけだが、ここぞの場面での大島がこれほどまでに勝負弱いとはちょっと想定外だった。

 またしても「まあ一本」が出なかったドラゴンズ。たいがいにしとかないかんよ!

(木俣はようやっとる)

 

【参考資料】

CM「鎌倉ハムKウインナー」