ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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●1-2阪神(8回戦)

 昨日の試合が雨天中止になり、日々体力的にも精神的にも過酷なマウンドで投げ続けるブルペン陣にとっては、ーー今日のように投手戦の様相はこれからも続くことが想定されるだけにーー ほんの少しでも気休めになっただろうか。

 とはいうものの、実は昨日の雨天中止はこれからの日程にとても大きな影響を与えてしまった。すでに公開されている甲子園の予備日は9/17。ここに昨日の振替試合が発生すると9連戦の後の2日の休みが1日になり、その直後に10連戦が発生することとなった。20日で19試合を戦う終盤戦にあたり、チームとしての選手運用や怪我人へのケアなど、より一層慎重になってもらいたいところだ。

 

ジャリエル初登板

 予告先発のジャリエル・ロドリゲスは昨日からスライド登板。オリンピック最終予選を控えるキューバ代表の一員として離脱が予定されており、今日のピッチングは彼自身のこれからの野球選手として大きな意味を成すことになるだろうと見ていた。

 ロドリゲスは球の勢いもあるが、突然制球が乱れることも多く、特に阪神のように足を絡めながら強力な主軸を擁するチームにとって不意なフォアボールは大量失点のきっかけになりかねない。

 特に立ち上がりにそれが起こってしまうと一気に展開が苦しくなってしまう。せめて試合が成立する5回まではマウンドにいてほしい……。そう祈りを込めてテレビ画面を見つめていた。

 

 初回、1死からロドリゲスが糸原にフォアボール、続くマルテにレフト前ヒットを打たれ早速ピンチを招いてしまった。佐藤輝明をセカンドゴロに打ち取り、2アウトにすると、打席にはサンズ。リーグ随一のクラッチヒッターとして名を馳せる好打者に対する初球をスイングすると、打球は内野ファールグラウンドに上がった。

 

頼りになるビシエドの守備

 カメラマン席に飛び込もうとした打球にビシエドがミットを出し、テレビカメラにぶつかりながらもしっかりとキャッチ。ロドリゲスは初回のピンチを切り抜けることができた。

 このワンプレーが、ロドリゲスを助けるビッグプレーだったと私は思う。仮に捕れなかったとしてもランナーが進塁する訳ではないが、捕ると捕らないでは今日の試合の流れが大きく傾きかねなかった。

 

 ビシエドといえばフライを追うときに荒木雅博コーチ(当時選手)からのアドバイスで守備力が大きく改善された話が有名だ。来日1年目の2016年は119試合の出場で12失策を記録していたが、昨年は109試合の出場で失策はわずかに1つ。日本の野球に適応しようと努力を重ねた結果、ゴールデングラブ賞も受賞することができた。

 2回にも梅野隆太郎が放ったファールフライをキャッチ。1回と2回では日没の傾き加減も変わっており、こうした打球を当たり前に処理できるビシエドがいて、はじめて守備中心のゲームメイクができるチームなのだと実感する。

 

もはや「助っ人」ではない

 ビシエドは入団してからの2年間は外野手登録だった。MLBではほとんどが外野手としての出場だった。NPB1年目の2016年こそ外野手として9試合に出場したが、2017年以降はすべて一塁の守備に就いている。

 転機は2018年、内野手登録になったときだろう。メジャーから海を渡ってやって来た 「助っ人」 がその二つ名を放棄し、この年首位打者を獲得。オフには新たに3年契約を結んだ。

 この頃から名古屋の少年野球団への息子入団や、オフシーズンも長らく日本に滞在していることなどが度々メディアやSNSで話題になっているが、日本に適応し、メジャーリーガーとしてのプライドをかなぐり捨てたことが今日の成功に繋がったと感じる。

 

 今年は3年契約の最終年。中日ファンの心を掴んで離さないビシエドは一つのアウトのため、一つの得点のために今日も必死に足を動かしている。

(yuya)