ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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「らしくない」

●1-2DeNA(7回戦)

 熾烈なせめぎ合いの末に負けるのは心身を疲弊するが、抑揚なく淡々と負けるのもそれはそれで堪えるものだ。手に汗握るまでもなく気付いたら終盤を迎え、あっさりとゲームセットを迎える。なんだか気の抜けたビールのような試合に敗れ、借金は4に逆戻りしてしまった。

 9回裏に至ってはクリーンアップの攻撃なので大いに期待したのだが、140キロ台中盤のフォークをコーナーに投げ分ける三嶋一輝の前に手も足も出ず、あっけなく三者凡退。いくら三嶋のボールがエグいと言っても軽く捻られるようでは情けないし、ゲーム全体を通して足が地に着いていないような、ドラゴンズナインの「らしくなさ」が少し気になった。

 

「らしくない」ベテラン勢の働き

 今日だけではない。1日の巨人戦も大量得点が効いて勝利したとはいえ、本来ならもっと楽に勝つべき試合だった。薄氷を踏むような展開になった原因は、あきらかに守備のミスにある。ゲッツーを取り損ねた場面が二度。どちらも二塁を守る髙松渡が絡んだプレーだ。

 髙松はこの試合、中継プレーでも送球を落とすなど守備の脆さを露呈している。神の足を持つ男も、守備レベルはまだまだ一軍レベルにないようだ。

 今日もスタメン二塁には髙松が入った。相手先発・ピープルズを足で揺さぶりたい意図は理解できる。ただ、広いバンテリンドームでは1点が命取りになる。案の定、髙松の拙守があまりにも重い先制点を生み出すことになった。

 そして4回裏、今度は相手のエラーでその髙松が出塁。目論見どおり機動力でチャンスを拡大したかったところだが、素早い牽制に刺されてアウト献上。揺さぶるどころかまんまと出し抜かれ、髙松は呆然とした表情でベンチに戻ったのである。

 ただ全てが髙松のせいと言うわけでもない。そもそも2回表に大島洋平の「らしくない」ファンブルが飛び出した時から、この試合の主導権は一貫してDeNAが握っていたようにも思う。

 谷元圭介の2試合連続被弾も「らしくない」し、7回表にリリーフした祖父江大輔も3球連続すっぽ抜け(90年代なら乱闘に発展していただろう)、さらにその後のまずいバント処理と「らしくなさ」が炸裂。結果的にゼロで抑えたのが嘘のようなバタバタしたイニングだった。

 苦手の東京ドームで2連勝を果たし、勢いそのままに本拠地に戻ってきたはずなのに、ベテラン勢がこうもよそ行きの野球をしていたのでは勝てるはずもなく。若い髙松はともかく、彼らにはもう少しベテラン「らしい」働きを求めたいものだ。

 

ヤング・ゼネレーション

 この手の試合は終盤に更なる追加点を許して意気消沈するのが最悪のパターンだが、そうはならなかったのが今日の収穫か。8、9回をリリーフした橋本侑樹、藤嶋健人の投球、そしてプロ初の三塁打を記録した根尾昂のヤング・ゼネレーションが完敗の中にも一筋の光明を見せてくれた。

 特に注目したいのが橋本だ。先頭にこそヒットを打たれたものの、続く牧秀吾を落ち着いて併殺に打ち取るなど、わずか7球でイニングを終わらせたのだ。これで今季は8登板(8回)して未だ無失点。被打率.083、K/BB5.50、奪三振率12.38と抜群の安定感を誇っている。

 ルーキーイヤーの昨季は即戦力と目されながらも期待どおりに働けなかったが、今季はオープン戦で防御率9.00と炎上したにもかかわらずサウスポー不足が幸いして開幕一軍入り。ここまで信頼を少しずつ積み重ねており、遂には勝ちパターンへの昇格も夢ではない。

 スライダーを武器にするサウスポーのリリーフ。重すぎる背番号に潰されなければーーなんて危惧していたものの、どうやら杞憂だったようだ。いい意味で伝統を気にしないメンタルの強さも、いかにも今時の若者「らしく」て頼もしいではないか。

(木俣はようやっとる)