ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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若武者バッテリー

○7-1 DeNA(5回戦)

 オースティンがスイングした打球がレフトスタンドに飛び込んでいくのを目にして、 「うっそぉ」 というような表情を浮かべた先発の勝野昌慶。

 18個のアウトを取る間に1本のヒットも許さず、球場の空気が “それ” を匂わせたところでのホームランだっただけに、ポーカーフェイスの勝野がほんの少し崩したその表情こそが悔しさを物語っていた。

 とはいえホームランを浴びても穏やかでいられたのは4回の集中打があったからに他ならない。チャンスの場面でビシエド、高橋周平の連打で2点を挙げると、阿部寿樹に今季第1号ホームランが飛び出して、あっという間に5得点。

 高橋、阿部、そして途中出場の平田良介、木下拓哉と打球が上がらなかった選手たちに、外野手の頭を越す長打が出たのは好転の兆し。これを機に貧打脱却を大いに期待したい。

 

期待の若武者・今シーズン初スタメン

 試合前の打撃練習、真っ先にケージに入ったのは3年目の石橋康太だった。キャンプこそ二軍・読谷でのスタートとなったが、実戦で結果を残し続けるとオープン戦終盤に一軍に合流。開幕一軍の切符を駆け込みセーフで掴み取った。

 その豪快なスイングにロマンを抱くファンは多く、貧打解消のために石橋を起用して欲しいという声は日に日に大きくなってきた。無得点に終わった昨日の試合を受け、ついにスタメンマスクの機会が与えられたわけだ。

 

 とはいえスタメン捕手のやるべきことは多い。期待される打撃で結果を求められる一方で、今シーズン不安定な投球が続く勝野をリードしてチームを勝利に導かなかればいけない。2週間前の同カードは広いバンテリンドームで、外国人もいない中での勝利だっただけに、今回はより細心の注意を払わなければならない。

 結果として石橋は守備面で首脳陣の期待に応える、素晴らしいゲームメイクができた。その姿はまるで昨日の大野雄大と木下のバッテリーを見ているかのようで、3年目とは思えないくらい落ち着いたリードだった。勝野もヒーローインタビューで石橋を褒め称えており、貴重なスタメンでしっかりとアピールすることができた。

 

木下の後をしっかり継いだ牧対策

 5点を取った直後の4回裏を振り返る。宮崎敏郎、オースティンを抑えた後、佐野恵太を迎えた場面だ。

 それまではほぼキャッチャーズボックスの中心付近からアバウトにコースを指示していたのとは違い、石橋は体ごと外角に動かした。

 結果として4球すべてストレートを投げてフォアボールを与えたものの、最後のボール以外はしっかりと石橋のミットにめがけて外角に投げきっており、この時に序盤よりも勝野の状態が良くなってきていることが実感できたのかもしれない。

 それを踏まえての牧秀悟に対しての配球は、ストレートとフォークを中心に組み立てた。前日の対戦で大野の速球に対応できなかった牧に対して、スピードボールでカウントを整えたあと、緩い変化球を振らせて三振を奪った。速い球に振り負けまいと気負うところを見透かしたような変化球勝負には、思わず声を出して唸ったほどだ。

 

大記録への挑戦

 その後も勝野-石橋バッテリーはランナーを出すことなく7回裏を迎えた。バッターはオースティン。前日の試合とほぼ同じ状況(無失点)だったが、冒頭の通り今日は相手が一枚上手だった。

 最後の勝負球はストレート。直前2球はストレートのタイミングでの反応をしておらず、オースティンも決め打っただけでなく、反応でも持っていったようなスイングだった。しっかりとインコースに投げきった球だっただけに、勝野も思わず 「うっそぉ」 という表情を浮かべたのだろう。

 ノーヒットノーランが途絶えたその後、2アウトながらピンチを迎えるも石橋が大きく飛び出した二塁ランナーのソトを牽制で刺してイニング終了。その直後にダメ押し点が入ったこともあり、勝利を大きく手繰り寄せるワンプレーだった。

 

 大記録を逃し悔しい思いがあるかもしれないが、まだ23歳と20歳の若いバッテリーだ。挑戦できる機会は長い野球人生でたくさん訪れるはずだ。

(yuya)