ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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日の丸を背負って

△0-0 DeNA(4回戦)

 2時間37分という試合時間で終わったDeNAとの3連戦初戦は、両者得点が入らず引き分けとなった。打てない、打てないと言われていた中でも密かに続いていた連続試合得点も12試合で途切れてしまった。

 

エースの仕事

 先発の大野雄大は初回からボールの走り、制球ともに抜群でDeNA打線を寄せ付けなかった。昨年3試合で1点も奪われなかった男が、前々回の登板では5失点を喰らって負け投手になった。

 二度続けて同じような内容にする訳にもいかない中で、竜のエースは淡々と強いボールをコーナーに投げ分け、8イニングをわずか102球で片付けた。得点圏で投げた球数はわずか7球。状態は抜群だった。

 得点が入らない緊迫した状況の中、大野は三度すべてランナーがいる状況で打席に立った。3回の第1打席は無死一塁の場面で送りバントができず空振り三振、5回の第2打席は2死二塁の場面でピッチャーゴロ、7回の第3打席は2死一、三塁の場面でセカンドゴロ。特に5回、7回のチャンスは直前の打者が凡退しての打席だっただけに、8番に打順が下がった木下拓哉に一本が出ていれば戦況も変わっていただろう。

 

 試合の流れがどちらにも行きかねない展開の中、私は 「ビジターゲームで、2アウト目に投手が打席に立つ」 というところに嫌な感じを持ちながら次の回の投球に着目していた。

 通常、投手は2アウトになると次の回の準備としてベンチ前でキャッチボールを行うが、打席に立つ場合はそうはいかない。木下の打席では大野はネクストバッターズサークルにいなければならず、次のイニングに対してのルーティンが全く異なる中でマウンドに向かわざるを得ない。

 特に7回裏はラッキーセブンの攻撃で、フィールドの外でDeNAに流れをもたらすような演出が球場を包むだけに、同じ試合の中でも少し違った雰囲気で打者に対峙しなければならない。その相手が昨年散々やられたオースティンから始まることもあり、一番の山場になるのではないかと感じていた。

 しかし、そこは流石昨年最優秀バッテリー賞を受賞した二人だ。オースティンにはフルカウントまでしっかり使ってショートゴロに抑えると、続く佐野恵太には安打を許したものの前回のカードで大暴れした牧秀悟、一発のあるソトを抑えてしっかりと7個目の 「0」 をスコアボードに刻んだ。

 少しの変化にも敏感になりそうな展開の中で、このバッテリーはしっかりと球数を使って相手の主軸を封じ込んだ。

 

稲葉監督も納得の表情

 この試合、VIP席には侍ジャパンの稲葉篤紀監督が視察に訪れていた。目的は、もちろん “侍Jの左のエース” を担うであろう大野のチェックだ。

 「存分に大野投手らしいピッチングを見せてもらいました」

 8回を投げ終えた後に見えた稲葉監督は笑顔こそなかったものの、納得の表情を見せていた。

 オリンピック本番ではオースティンやソトに匹敵する強打者が並ぶことも考えられるため、今日のピッチングはより一層指揮官の信頼が増したことだろう。

 先行きが見えない中とはいえ、3ヶ月後にはオリンピックが開幕し、横浜スタジアムでも試合が行われる。その大舞台で「JAPAN」のユニフォームを着た大野がマウンドで仁王立ちして、世界の強打者をバッタバッタとなぎ倒す……。竜のエースは、日の丸を背負う日本のエースへと昇華していく。

(yuya)

 

稲葉監督コメント引用「スポーツ報知」