ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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方程式スクラップ&ビルド

●2-4広島(6回戦)

 試合前のバンテリンドームにビシエドが姿を現し、故障後初のフリー打撃で回復ぶりをアピールした。またガーバー、ロサリオ、ワカマツの3選手が2週間の隔離期間を経てチームに合流。ガーバー、ロサリオは二軍で調整した後に一軍合流となる見込みだ。

 こうした明るい話題に加え、前日の快勝もあって久々にポジティブな気持ちで試合を迎えたのも束の間。スタメン表を目にした途端、思わず顔が青ざめた。なぜなら4番に書かれていたのは、「A.マルティネス 」ではなく「福田永将」の四文字。

 一昨日の試合で得点機にことごとく凡退を繰り返した福田がスタメン4番出場では、期待しろと言う方が難儀な話だ。

 せっかくビシエドに復帰見込みが立ち、待望の新外国人も合流したかと思えば今度はアリエルが欠場とは……。午前中の前向きさは一瞬にして暗転し、晴れない気持ちでのプレーボールとなった。

 

祖父江の投入は最適解

 そして試合自体も、まさに「暗転」という表現がふさわしい展開になってしまった。

 一度は追いつき、追い越しながらも8回表に祖父江大輔が捕まり逆転を許すと、今のドラゴンズ打線にドラマを起こすような力は残っておらず万事休す。小笠原慎之介の好投や、三ツ俣大樹のセーフティスクイズなど見せ場も多くありながら、終わってみれば悔しすぎる逆転負けとなった。

 結果的には継投ミスという評価になるのだろう。ライデルの復帰に伴い、守護神から本来のセットアッパーに戻った祖父江がやられてしまうのだから上手くいかないものだ。

 クリーンアップと対峙するこのイニングにライデルをぶつけていたら……とか、7回までは小笠原に任せ、調子のいい又吉克樹を8回に投入していれば……とか色々と「たられば」を妄想してしまうが、所詮は結果論。昨季無敵を誇った祖父江を出して負けたのだから、これ以上の采配は無かったのである。

 

方程式スクラップ&ビルド

 今はこうした失敗を重ねながら “方程式” を構築する段階であろう。かつての「JFK」や「スコット鉄太朗」ほど確固たるメンバーが揃っているならともかく、基本的には毎年リリーフ起用のパターンは変化するものだ。

 去年だって「大福マル」のリレーが確立されたのは開幕から一ヶ月弱が過ぎた頃で、当初は守護神を岡田俊哉が務めていた。ところが不安定な岡田に代わってライデルがその座に就き、当初はBチームでの起用だった祖父江が好投を続けてAチームに昇格。早い段階で新たな方程式を構築したことが、8年ぶりAクラス入りの原動力となった。

 祖父江に関してはWHIP2.22という目を疑うような数字が表すように万全とは程遠い状態にあるが、情の深い与田監督のことだ。今日の失敗をもっていきなり配置転換とはならないだろう。ただ、こうした内容が続けば「大福マル」の解体にも着手せざるを得なくなる。

 過去の方程式構築の経緯を振り返っても、なかなか青写真どおりには行かないもので、試行錯誤の末に生まれたものがほとんどだ。むしろ青写真が崩れた際にいかに迅速に “再構築” できるかが投手コーチを初めとした首脳陣の腕の見せどころといえよう。

 幸い今年は又吉、鈴木博志、谷元圭介、藤嶋健人と調子のいいリリーフがずらりと並ぶため、選択肢には困らなくて済みそうだ。祖父江の復調がベストなのは当たり前として、もし調子が戻らなかった際にどう組み直すのか。

 「又鈴マル」、「藤谷マル」……。なんにせよ「大福マル」を超える語呂の良さは望めそうにない。

(木俣はようやっとる)