ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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束の間の安堵

●3-7広島(4回戦)

 殊勲打を含む被本塁打を2発に、苦しい投手継投……。昨日書いた不安要素がまるっと乗り移ったかのような展開に頭を抱えつつも、イニングは進んでいく。

 幾度となく満塁のチャンスを作りながらも為す術なく、今夜も黙々と27個のアウトを献上してしまった。スマホで 「ひ」 と入力すれば 「貧打」 が予測変換の最初に出てきて、どれだけ経っただろうか。

 

今シーズン初の猛打賞は18試合目

 ここまで開幕から17試合。そして昨年の116試合目に高橋周平が記録して以来、シーズンを跨いで21試合連続で、1試合3安打を放った選手が誰もいない状況が続いていた。

 開幕から安定して安打を放ってきた大島洋平も、高打率を残していたビシエドも、3安打は記録できなかった。そうした中で出た今シーズン初の猛打賞記録者は、背番号1を背負う京田陽太だった。

 昨年、脱臼で離脱したビシエドの出囃子を使ったり、若くして亡くなった高校の後輩のグラブで年間守り通したりと、京田の深い人間味は至るところから伝わってくる。

 黙々と、そして淡々とプレーをこなすそのスタイルにはファンや解説者から厳しい声が飛ぶこともあるが、それでも京田は悔しさを表情に出すことなく一軍の舞台に立ち続けている。

 初回の攻撃では大島を一塁に置いて連打で繋ぐと、4回の満塁のチャンスではしぶとくセンターへ打ち返し2点タイムリーを記録。次の打席でもセンター前に打って3本目。つい先日、三ツ俣大樹にスタメンの座を奪われ、ベンチで戦況を眺めていた男の猛打賞は、わずかながら打線の光明といえよう。

 昨日から良い当たりが出始め、復調の気配が見えてはいたが、この猛打賞で一気に上昇気流に乗ってもらいたいものだ。タイムリーを放った後、一塁ベース上で荒木雅博コーチと話す京田のホッとした表情は重苦しい空気の中での束の間の安堵だった。

 「気持ちで打ちました。最近、試合に出られなかったりして悔しい思いをしていたので、そういう気持ちを持って打席に臨みました

試合中のタイムリー談話で、その熱い思いを私は受け取った。

 

思い様々

 ところで今日の広島は2番に中村奨成がスタメンに入り、5回表に記念すべきプロ初安打を記録した。

 2017年の夏の甲子園でホームランを連発して広陵高校を準優勝に導いた中村を、その秋のドラフトではドラゴンズも1位指名。1/2のくじを外し、再選で指名した選手こそがヤマハの剛腕・鈴木博志だった。

 二塁ベースではにかむ中村の姿を目にして 「逃した魚は大きかったか」 と一瞬は悔やんだものの、打たれた鈴木博を含めてこれからを担う若手の豊富さならドラゴンズだって負けちゃいない。

 昼間の二軍戦では同い年の山本拓実、石川翔、伊藤康祐が出場。清水達也も昇格を虎視眈々と狙い、一軍帯同の高松渡は代走要員として抜群の存在感を出している。

 今日の中村奨の活躍を、中日の同い年たちはそれぞれ色んな思いを抱えながら目に焼き付けたことだろう。中堅、ベテランが不甲斐ない今こそ、彼らにとっては願ってもないチャンス到来。それを生かすも殺すも本人次第だ。

(yuya)

 

選手コメント引用「スポーツ報知」