ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

悩め、開幕投手

●1-5巨人(6回戦)

 先週金曜日に試合がなかったことと爪の不具合のため、松葉貴大と入れ替わる形で福谷浩司が中12日で木曜日の先発マウンドに立った。

 同一カード3連敗は絶対に避けたいところ。福谷が粘ってロースコアの展開に持ち込み、少数得点を守り切るという私の思い描いたゲームプランは、巨人の1番打者・松原聖弥によってもろくも打ち砕かれた。

 

貧打に隠れた落とし穴

 今シーズン、きょうの試合前までの16試合で中日が打たれたホームランは11本。1試合あたりの被本塁打は0.71本と、昨年の0.97本(116本/120試合)に比べれば良化しているものの、11本のうち72.7%にあたる8本が、試合に大きな影響を与える “殊勲打” (同点打、逆転打、勝ち越し打)となっている。そして今日の松原のホームランもまたーーー殊勲の先制弾となってしまった。

 そもそも得点力が低いので、一発が即、殊勲打としてカウントされてしまうのだが、それにしても殊勲打になる割合が多い。ここぞでの手痛い一発がチーム全体の雰囲気を重くしている面もあるのではないだろうか。

 もっとも、殊勲打にならない被本塁打を見てみても、大野雄大がDeNAの神里和毅に打たれた満塁弾、同日にルーキーの牧秀悟に打たれたチーム8000本目の被弾、そして昨日の梶谷隆幸に打たれた2ランと、印象に残るホームランばかりでもある訳なのだが……。

 とても厳しい要求かもしれないが、勝利のためには「ここぞの一発」にもう少し気をつけるべきかもしれない。

 

カメラが捉えたベンチのやり取り

 5回の表に入る前に、テレビ映像はドラゴンズベンチを映していた。打席の用意をする福谷に対して阿波野秀幸ピッチングコーチが声をかけると、福谷はバッティンググローブを外した。引き続き話し続ける阿波野コーチの顔をそらすように福谷はグラウンドに背を向け、タオルで顔を覆ったあと下を向き、悔しい表情を隠そうとしなかった。

 今日の福谷はボールに威力があったものの、打たれたボールは真ん中に集まってしまい、2回までに6安打を浴びる苦しい立ち上がり。3回はあっさりと重盗を許し5点目を失ってしまった。2ストライクまでは良いコースにボールが決まっているだけに、悔いの残る登板だっただろう。

 

 3試合連続で結果を残せなかった開幕投手の正直な感情には、本人の悩みがずっしりと伝わってくるものだ。今がまさに「先発投手・福谷浩司」がぶち当たっている壁なのだろうが、クローザーとして悩みに悩んだ結果たどり着いた道が今日の福谷に繋がっている。

 苦しい時期を乗り越えた姿を目にしているだけに、大いに悩んで、またレベルアップした姿を見せてほしい。

 

降板後コメントの裏側にあるもの

 「こういう展開だったので、最後まで投げようと思っていました。途中で交代してしまい悔しいです」と福谷はコメントを残した。

 前日は鈴木博志、橋本侑樹両投手が2イニングずつ、今日は5回の裏から藤嶋健人がイニング跨ぎで2回を投げ、7回からは橋本が連投、8回は谷元圭介が投げた。連日、全員が無失点に抑えたことは素晴らしいが、2日連続で先発投手が早期交代してしまったためビハインド要員のピッチャーに負担がかかってしまった。

 明日は名古屋へ移動してそのままゲームに入るため、この二日間で使った投手を起用するには負担が大きい。とはいえ明日、勝ちパターンの投手を使うことになればナイトゲーム→デーゲームと試合間隔が短くなるため、土曜日に勝ちパターンの投手を連投させることで負荷が大きくなる。

 

 今年は延長戦のない特殊ルールで計算しやすい状況ではあるが、そうした中でも先発投手がなるべく多くのイニングを投げることが投手運用の助けとなる。福谷のコメントにはそうした責任感もあるだろうが、ローテ投手にその意識があるなら安心だ。クレバーな福谷の悔しさは、必ずチームに良い影響をもたらしてくれるはずだ。

(yuya)

 

選手コメント引用「日刊スポーツ」