ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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助演男優賞

△2-2ヤクルト(1回戦)

 3時間57分のロングゲームは引き分け。両軍合わせて341球を投じ、18安打を放つも19残塁。でも、スコアは2-2。ただただ疲れる試合だった。

  ついでに言うと、この日J SPORTSで解説を務めた権藤博氏の喋りが冴え渡っていた。厳しい視点の解説は今季も健在で、一時はTwitterのトレンドワードにも浮上。ぐうの音も出ない指摘に耐えられぬファンのフラストレーションが、そのままぶつけられたようだ。

  念のため記しておくと、僕は権藤さんの解説、結構好きです。

 

相手に粘らせなかった福

  試合がグダグダと進む中、安心して見てられたのは7回表と8回表だけだった。今日はそこで投げた2人の投手を取り上げたい。福敬登と又吉克樹である。

  福は同点に追いついた7回に登板。太田賢吾を見逃し三振に斬って取ると、西浦直亨をサードライナー、代打・中山翔太をサードフライに抑えて三者凡退に退けた。

  良かったのは、相手に粘らせなかったことだ。2球で追い込むのはいつも通り。そこから少ない球数で打ち取れるか、粘られて球数がかさみ痛打を浴びるのかで結果が大きく変わるのだが――今回のピッチングは前者だった。

  太田には2ストライクから外の変化球を2球見送られた後、少しだけ甘く入れたスライダーを投げて見逃し三振。西浦にも2ストライクから2球続けて低めを見極められるが、内角低めのスライダーで凡打に抑えた。ここまで来れば大丈夫なもので、中山相手にはスライダーでカウントを整え、最後は高め直球で押し切った。

  ここまでの福は阪神戦のサヨナラ負けを含む2試合連続失点もあったが、直近のマウンドでは連続して無失点ピッチング。ホールドも記録している。疲労困憊の中で最優秀中継ぎ賞を獲った昨季を経て、今季は開幕までスロー調整に終始。本領発揮はこれからだ。

 

安定感抜群の又吉

  2死一、二塁の好機を逸した直後、8回のマウンドには又吉が上がった。こちらは福以上に安心して見ていられる投球で、相手打線を三者凡退に退けた。

  先頭の塩見康隆には2-1とボール先行になったが、低め直球を引っ掛けてもらいショートゴロ。山崎晃大朗、中村悠平は連続三振に抑える抜群の内容だった。

  今季の又吉は140キロ台前半のカットボール、シュートを投げ分けるのが基本スタイル。そこに145キロ前後の直球と、130キロ前後のスライダーを織り交ぜている。8割程度の力感で投げているため余分な力が入らず、ストライク先行の投球を展開。ダルビッシュ有から伝授されたチェンジアップを使わずとも、十分に抑えられている。

  ここ数年はケガもあり「便利屋」ポジションに収まっていたが、もともとは新人からセットアッパーを務めた逸材。現状、ブルペン陣の「Aチーム(=勝ちパターンで登板)」に属しているのは、起用法からも明らかだ。30歳を迎えて投球に老獪さが出てくる中、キャリアハイのシーズンを過ごす予感が漂う。

 

中継ぎ投手の頑張りに報いてほしい

  ただ、やはり中継ぎ投手は「助演男優」。先発投手からバトンを受け取り、うまくクローザーへ渡せるかが唯一にして最大のミッションだ。

  バトンが渡せて当たり前。バトンパスをうまくできない(=リードを守れない)とすぐに指摘され、バトンを落とした(=大量失点して試合を壊す)日には周りからなじられてしまう。辛い役どころである。

  だからこそ「主演男優(=レギュラーと呼ばれる野手陣)」に援護をしてもらいたいのだが、ここまでは絶望的にできていない。主演が仕事をできない舞台の価値がなくなるのは、誰だって分かる。さすがに我慢強い首脳陣でも、主演の入れ替えを視野に入れはじめたと思う。

  明日で対戦カードが一回り。中継ぎをはじめ投手陣の頑張りを打線がカバーする試合をそろそろ観たい。【ikki】