ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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化かし合い

●2-5 DeNA(3回戦)

 昨日の試合終了後、4番のビシエドがハイタッチにいなかったという情報が広がり、そして今日昼の二軍戦では加藤匠馬が三塁を守り福田永将が鳴尾浜にいないということで、にわかにドラファン界隈がざわついた。

 午後の公示ではビシエドの抹消ならびに福田の登録が明らかに。外国人も続々と来日し、ビシエド不在のロスは最小限に食い止めたいところだが、それでも暫くは国産打線を組まざるを得ない苦しい状態となった。

 

先発松葉、快刀乱麻のピッチングも……

 昨日のブログの結びにも書いたが、今日の試合は先発の松葉貴大がどういったピッチングをするかを気にかけながら見ていた。

 昨年同様、序盤から低めを丁寧につく小気味よいピッチングでゲームを作ったが、6回に2死から出塁を許すと、牧秀悟に打った瞬間それと分かるの特大の一発を浴び、2失点でマウンドを降りた。

 直後に代打・福留孝介のタイムリーで同点に追いついたため、敗戦投手にはならなかったのがせめてもの救いか。

 ただ、球数が増えるとボールが高めに浮き、痛打を浴びるケースが毎度のように目立つため、今日のような、いや、昨年から続く「たった一球で試合がひっくり返る展開」での長打を松葉本人も課題と理解しているはずだ。

 不運な出塁からの失点ではあるものの、もうワンランク、ツーランク上の選手になるためには、ピンチを意に介さない図太さも大事になってくる。

  とはいえ豊富な球種を自由自在に操り、相手打者に狙いを絞らせないそのスタイルは中日の先発陣では珍しいタイプである。安定してゲームメイクできる大人のピッチングを見せる一方で、楽しい、悔しいといった感情も隠さない 「野球小僧」っぷり にすっかり私は惚れ込んでしまった。

 

奮闘する女房役

 そんな松葉の好投を導いた木下拓哉に、今日はスポットライトを当てたい。牧に打たれた1球以外ほぼ完璧なピッチングの裏には木下拓の好リードがあったことは間違いない。

 相手打者をよく観察し、松葉に対して「ここだ!」と厳しいところに構えたり、「ここのラインに投げろ」 とキャッチャーミットを縦に切ったりと、意図がはっきり伝わるジェスチャーで松葉を鼓舞するその姿は、まさに正捕手という風格をも感じさせた。

 打席では2回裏、平田良介がスリーベースで先制のチャンスを作ると、ボテボテのセカンドゴロで平田をホームに迎え入れた。中日打線が苦手としている平良拳太郎が相手だっただけに、どうしても欲しかった先制点をあっさりと取ることができた、最高の凡打だった。

 6回裏にも同点を演出する送りバントをしっかり決め、打率は低いがリーグトップの二塁打を記録したり、得点の機会に多く絡んできたりするあたり、勝利のために奮闘していることがよく分かる。 

 

戸柱との 「化かし合い」 

 このDeNAとの3連戦はすべて木下拓とDeNAの戸柱恭孝が先発マスクをかぶった。この二人に共通する点といえば、フレーミングの巧さにある。ルーキー時代から屈指のフレーミング技術で注目を浴びた戸柱に対して、木下拓はキャッチングを褒められることが多かったが、今では戸柱と双璧をなすほどにフレーミング技術が上達している。

 今日も初回の牧、2回の神里和毅の見逃し三振は木下拓のフレーミングが際立った他、絶妙なコースをストライクに取る技術は松葉のような投手にとって、とても助けになっていることだろう。

 一方の戸柱も以前に比べると頻度は減ったものの、「ここぞ」 という場面ではしっかりと決めてくるあたりに熟練の技を感じさせる。そして二人とも大前提としてストライクをボールにしない巧さを持ち合わせているが故に、今日のような制球力の高い投手が投げ合うと締まった展開になるのも頷ける。

 

 際どいボールをいかに 「ストライク」 と言わせるかーー。ホームベースの後ろでは捕手と審判との 「化かし合い」 が繰り広げられており、その戦いを存分に味わうことができた試合だった。

(yuya)