ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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君だけに夢をもう一度

●3-7DeNA(1回戦)

 本拠地でのDeNA3連戦Game 1は、相手に終始先手を握られ敗戦。投げてはエース・大野雄大がまさかのグランドスラムを被弾、9回にはルーキー・牧秀悟に一発を打たれてジ・エンド。打線も追いつかない程度の反撃しか見せられなかった。

 

周平の粘りが完敗ムードを払拭

 大野がド派手に打たれた直後の6回裏、2死無走者から3点を返したドラゴンズ。その1点目は背番号3・高橋周平のバットから。相手先発・大貫晋一からレフト線へ落とすタイムリー二塁打だった。

 大島洋平、阿部寿樹の連打による好機で打席に立った高橋周。前の打席の内野安打は、センター前に抜けそうなところを遊撃手がギリギリで弾いた当たり。5回までわずか2安打に抑えられた中、数少ない鋭い打球だった。

 迎えた6回の打席。高橋周は変化球を引っ掛けてのファウル、直球を見逃して2ストライクと簡単に追い込まれた。しかし、ここからが真骨頂だった。

 3球目、外角高めを見送りボール(1ボール2ストライク)。
 4球目、インハイ真っすぐをファウルで逃げる(〃)。
 5球目、低め変化球を見切ってボール(2ボール2ストライク)。
 6球目、再びインハイ真っすぐをファウルで逃げる(〃)。
 7球目、またもファウル。マウンド上の大貫は苦笑い(〃)。
 8球目、外寄りスライダーをファウル(〃)。

 そして9球目、内寄りの真っすぐを捉え、レフト線へ落とす。高橋周の粘り勝ちである。

 続くビシエドもしぶとくショート左を破るタイムリーを放ち、2点差に。キャプテンの粘りが完敗ムードを一度は払拭(ふっしょく)した。

 8回に訪れた第4打席は、山﨑康晃からウォーニングゾーン手前まで飛ばすセンターフライ。明らかに山﨑康の球威が強くなっていたので、直前にゲッツーがなければどうだったか、あるいはもっと引っ張り込んだ打球を見られたかもしれない。

 長年高橋周を見ていて、強烈に引っ張り込んだ打球が出てくるかどうかが、調子のバロメーターと思っている。明日以降の打席に期待したい。

 

いまの地位に至った道のり

 今季は継続的なトレーニングの成果もあり、体重が公称を大きく超える98キロまで増量。オープン戦では2本塁打を放ち、終盤7試合は打率.360(25打数9安打)と固め打ち。長打と巧打を併せ持つニュースタイルで、開幕を迎えたはずだった。

 それが広島での開幕3連戦で11打数ノーヒット。巨人戦と阪神戦の6試合で8安打と巻き返すも、9試合通算で打率はまだ2割そこそこ。打点がわずか3なのも、3番打者としては寂しい数字だった。

 だからこそ、今夜のタイムリーは嬉しかった。追い込まれてからバットを一握り余して構え、三塁方向にファウルで粘るのは、ここ数年で多く見られる姿。こうやって1打席1打席結果を残して、やっと不動の存在になったのだ。いくら20本塁打を狙うとはいえ、結果を残せず試合に出られなくなったら元も子もない。

 「北海道から東京に移動するとします。普通は東北を南に進んでゴールですよね。でも、なぜか日本海側を渡って鳥取まで行って、そこから東京に向かった感じです」

 かつてこんな表現でレギュラーへの道のりを語った高橋周は、それを十分に分かっているはずだ。試合に出続けていれば、本人とファンが待ち望む数字だって夢じゃない。

 チームは10試合を終え、3勝5敗2分け。まだまだ本調子とはいかないが、今夜の高橋周の粘りが各々に響いていることを願う。【ikki】

 

※選手コメント引用「文春オンライン」