ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

泣くな、慎之介

●1-3阪神(3回戦)

 「中日(打線)で長打があるのはビシエドぐらい。 単打を打たれても、(走者は)一つずつしか進まない」

 阪神・青柳晃洋の “各駅停車発言” が波紋を呼んでいる。というより、ドラゴンズファンが一方的にショックを受けている。

 打っても打っても点にならない効率の悪さは長年の課題であるが、いざこうしてライバルに指摘されるとなかなか「食らう」ものがある。そして、まさにその思惑どおりに封じ込まれたわけだからぐうの音も出ない。

 昨日、スコアボードに9つの「0」を並べたドラゴンズ打線は一晩経っても湿ったまま。またしても好投する先発投手を見殺しにしてしまった。

 

ベンチで泣き濡れた小笠原

 初回からいい形で作った無死二塁のチャンスを逸すると、1死満塁の4回表は相手のエラーで1点取るのがやっと。次打者がダブルプレーを叩く様式美のような拙攻で “各駅ドラゴンズ” の本領を発揮した。

 6回表は2死からつながり一、二塁とするも京田陽太が一ゴロに倒れて得点ならず。その裏、尻上がりに調子を取り戻していた小笠原が遂に捕まり「次の1点」は阪神に転がり込んだ。

 これも紙一重というか、レフト滝野要の守備位置がもう少し前寄りならば、そして返球がもう少しホームベース寄りならばアウトのタイミングだっただけに、なんともモヤモヤが残る失点となった。

 もちろんあの状況では精一杯のプレーであり、滝野の一連の動作には何の無駄もなかったことは付け加えておく。

 続く梅野隆太郎に四球を許し、満塁としたところで小笠原はマウンドを譲った。目を腫らして虚(うつ)ろな表情で立ち尽くす姿がやけに印象的だった。ベンチに戻った小笠原はグラブを叩きつけ、タオルに顔を埋めた。おそらく悔し涙に暮れていたのだろう。

 ただ、決して責められるような投球をしたわけではない。初回先頭打者被弾を許すなどチェンジアップが狙われていると見るや、ストレートを軸に立て直したのは見事だった。昨季までの小笠原なら決め球に窮し、球数が嵩んで自滅していたことだろう。

 今日のようにストレートが走っていれば、自ずと勝ち星は付いてくるはずだ。何の心配もいらない。昨日の柳裕也に続いて、敗因はどう考えたって打線の不甲斐なさにある。

 

カンフル剤投入か

 9試合を終えてチーム本塁打はわずか1本。開幕戦でビシエドが逆転弾を放って以来、8試合連続の “音無し” では苦しい戦いが続くのも無理はない。むしろこの惨状で負け越し1に留まっているのが不思議なくらいだ。

 今季初の連敗を喫した与田監督は試合後、「(まだ)決まっていない」と選手の入れ替えに関して言葉を濁したが、このまま今のメンバーで来週のDeNA戦に臨むとは考え難い。カンフル剤を投入するなら傷口の浅い今のうちだ。

 聞くところによれば石垣雅海が週末の遠征に帯同せず名古屋に残ったという。また福田永将も今日のソフトバンク戦で豪快なアーチを放ったようだ。対戦相手にもナメられる各駅打線の解消へ、やはりここは特急列車ならぬ「長打」が期待できる打者の昇格を期待したい。

 

 最後にもう一度、話を小笠原に戻す。

 あと一歩のところで痛打を浴びた悔しさは分かる。よほど自分に腹が立ったのだろう。試合後には「投げきれなかったので、申し訳ない気持ちでいっぱいです」と反省の弁を口にしたという。

 だが、まだ開幕して一週間ちょっと。秋口の天王山に敗れたならまだしも、この時期の一敗でこれほど感情を露にしていたのでは身が持たないのではないかと心配になってしまう。

 かつて同じ背番号「11」を背負った川上憲伸は、好投しながらも援護なく敗れたある試合の後に「9回2失点で何がアカンのですか。反省なんかしてないです」と吐き捨てたことがあるが、投手はこのくらい図太くていいと思う。

 泣くな、慎之介。その涙は、胴上げの瞬間まで取っておこう。

(木俣はようやっとる)

 

【コメント引用】

「東京スポーツ」(青柳コメント)

「SANSPO.COM」(与田監督〃)

「中日スポーツ」(川上〃)