ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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Only One

●1-3巨人(3回戦)

 巨人とのバンテリンドーム開幕シリーズGame 3は逆転負け。カード通算で1勝1敗1分けと、広島戦に続いてまたも5割で終えた。

 1得点は相手のエラーによるもの。6回に逆転を許して以降はわずか1安打、得点圏に走者を進めることは一度もなかった。分かってはいるが、今年も貧打に悩まされそうである。

 

唯一の得点は背番号8のヒットから

 本日唯一の得点を記録したのは、背番号8・大島洋平だった。

 3回1死で迎えた第2打席、ライト前ヒットで出塁。2死後、高橋周平の打席で盗塁成功。高橋周の内野安打で走者一、三塁になると、ビシエドの浅いライトフライが梶谷隆幸のエラーを誘い、本塁に生還した。

 ヒットは3球続けて真っすぐで押す髙橋優貴が初めて投じたカーブを引っ張っての一打。低めボールゾーンに落ちていく中、バットの先で拾って一、二塁間を破った。さすがのバッティングに盗塁も含め、見事な働きだった。

 続く5回の第3打席は、フルカウントから四球を選び先頭打者の役割を果たす。その後、阿部寿樹の犠打、高橋周の内野ゴロで三進するも、得点には結びつかず。追加点こそ奪えなかったが、大島が起点となり再びチャンスを演出した。

 

開幕から元気な「大島プロ」

 大島は開幕から6試合連続ヒットを継続中。ドラゴンズではただ一人の記録だ。

 持ち前のバットコントロールとコンタクト力は健在で、4月1日付「中日スポーツ」の連載『龍の背に乗って』では、開幕後一度も三振はおろか空振りもしていないことを指摘。今日のゲームでも空振りはなく、打球を前に飛ばすか四球を選んだ。三振では振り逃げでもない限りアウトを献上するため、少しでも攻撃が続くようなアプローチができている。

 チームに得点力不足がまん延する中、数少ない得点源となっている。事実、3月28日の広島戦を除く5試合で本塁に生還。塁に出れば、ほぼ1点は約束されたようなものだ。

 ファンからは「大島プロ」とも呼ばれるが、それは安定したパフォーマンスに加え、骨折しても試合に出続ける心身の強さから。首脳陣にとっても、いつでも「1番・センター」に名前を書き込める計算はあるはず。尊い存在だ。

 

背番号8に足りないもの

 打っては11年間で1600本近くのヒットを放ち、守っては8度のゴールデングラブ賞。間違いなく球団史に残る外野手――そんな大島に足りないものは「優勝チームのリードオフマン」の称号だ。

 入団していきなりリーグ連覇に立ち会うも、当時はアライバ(荒木雅博&井端弘和)の時代。大島は7番や8番を打つことが多かった。1番に定着したのは2012年からで、不幸にもこの年からずっと優勝から遠ざかっている。

 今年の11月で36歳。さすがの「大島プロ」でもキャリアの後半に差し掛かっている、と言って差し支えないだろう。あと数年はセンターを守れると思うが、守備範囲を示す指標も緩やかに低下傾向。いずれはポジションを禅譲し、コンバートや引退が視野に入ってくるのは野球界の摂理だ。

 だからこそ、大島がバリバリやっているうちに「優勝チームのリードオフマン」の称号を与えたい。メディアでそう書かれることを目にしたい、耳にしたい。

 あと一歩で日本シリーズを逃したときも、暗黒時代のときも、久々のAクラス入りのときも、いつも大島はドラゴンズのど真ん中にいてくれた。「生涯ドラゴンズ」を明言してくれた。

 その感謝をこめて、今年はより一層声援を送る。球場に行ったときはもちろん、心の中で。【ikki】