ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

小粋な計らい

○5-3巨人(2回戦)

 2017年度ドラフト1位の鈴木博志が2回を0点に抑え、2018年度同1位の根尾昂が決勝打を放ちお立ち台に上った今日の試合。

 根尾のタイムリーに関する考察や談話については明日の「中日スポーツ」でたっぷりとお楽しみ頂くとして、今夜は投打二人ずつ、私が考える殊勲者の活躍を振り返りたい。

 

マルチ! キャプテン周平の打棒復活!

 試合前までチーム打率.197と低迷。それだけに初回の3失点が重くのしかかる展開になるかと思われたが、今夜のドラゴンズ打線はあっさりとその逆境を跳ね返した。

 突破口を開いたのは高橋周平だ。大島洋平、阿部寿樹が追い込まれながらもしっかりと 「らしい」 打撃でチャンスを作り、無死二、三塁と絶好の場面で打席に立った高橋。開幕カードでは良い当たりがとことん野手の正面を突いて 「H」 のランプを灯すことができなかったが、それも過去の話。

 昨日のシーズン初安打から3打席連続となる安打をライトに放つと、これが2点タイムリーになった。

 

収穫は平田の併殺打?

 高橋のタイムリーからさらにビシエドが安打で続き、なおも一、三塁として打席には平田良介。何としても同点、できれば逆転まで持っていきたい場面である。

 平田といえば昨季はスイングの振り遅れが目立ち、右方向への凡打がやけに目立っていたが、この場面では引っ張る意識を見せてくれた。結果は併殺打に倒れたものの、かつての落合監督の名台詞「収穫は井端のゲッツー」 に通ずるものがあると、(少々強引ながら)ポジティブに捉えてみたくなる内容ではあった。もちろん、あと一歩で勝ち越せない展開にはモヤモヤを抱えたが……。

 ただ、3回裏の第2打席ではしっかりと低めのボールを振り抜き、これが文句なしのタイムリーツーベースとなった。このあと両チームに得点が生まれなかったことを考えると、リードを広げた平田のタイムリー、いやその前の「引っ張る意識」が見られた併殺打の価値はぐぐぐっと上がってくるはずだ。

 

3年ぶりの勝利投手、鈴木!

 勝野をリリーフした藤嶋健人に代打が送られ、5回表からマウンドに上がったのは鈴木だ。

 サイド転向で活路を開いた右腕は2イニングを無失点に抑える好投をみせた。特に5回表、丸佳浩を歩かせた直後の中島宏之に対する、攻めたピッチングで奪った1-6-3のダプルプレーは見事という他なく、思わず声を上げてしまうほどだった。

 「サイドスローは左打者にとってリリースポイントが見やすいから打ちやすい」 という定説がある。イニングをまたいだ6回表には左打者の重信慎之介にツーベースを打たれるも、奪ったアウト3つもまた全て左打者。まったくバッティングをさせず、この試合の流れを大きく引き寄せた。

 

『黄金魂』を胸に……

 8回表、マウンドにはセットアッパーの福敬登が上がった。このときバンテリンドームに鳴り響いたのは、湘南乃風の 『黄金魂』 。そう、先日右肩脱臼を負った木下雄介の出囃子である。

 多くのドラゴンズファン、いやプロ野球ファンをショックに陥れた木下の大怪我。例に漏れず、私も未だに現実を受け入れられずにいる。一方で当の木下本人は、早くも前向きに復活への道のりを踏み出そうとしているそうだ。

 「乗り越えられない試練はないと思うので、この試練も乗り越えます!」(コメント引用・CBCテレビ)

 不屈の背番号98が帰ってくるのを、ファンも、チームメイトも待っている。その出囃子を借用するとは、なんと小粋な計らいだろう。

 

 福は丸、中島をゴロアウトに仕留めて簡単にツーアウトを取ると、大城卓三に対しては完璧な攻めで見逃し三振を奪った。まるで木下の分まで腕を振っているかのような、豪快なストレートだった。

 昨年、ゲームセットの瞬間に人目もはばからず号泣して涙を誘ったこの男は、今年も早速ファンの心を鷲掴みにした。

ーーー「これが絶対なんて絶対ねぇ」

だから生きて 生きて 生きて 必死で!

(湘南乃風『黄金魂』より)

【yuya】