ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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死に物狂いのバトンリレー

○7-5DeNA(22回戦)

 こんな試合ばかり見ていたんじゃ心臓が幾つあっても足りない。手に汗握る激戦を制した中日が連敗を6で止め、4位DeNAとのゲーム差も再び1.5に広がった。これで3位マジックは「3」となり、明日あさってを1勝1分以上で乗り切れば8年ぶりのAクラスが確定する。

 今季最も重要な3連戦の初戦を取れた意味は、とてつもなく大きい。何しろ負けていれば4位転落だったのだ。7連敗での4位転落となれば、さすがに立ち直るのも難しかっただろう。連敗中は勝利こそが最良の薬。これをきっかけにして、一気に明日あさってで決めてしまいところだ。

 それにしても久々の勝利の味は、やはり格別だ。それと同時に、一勝することの大変さをあらためて思い知らされる試合でもあった。まるで勝ち方を忘れ方のように黒星を重ねたこの一週間。単に打てないだけならまだしも、自慢のリリーフ陣が軒並みやられて逆転を許す展開は精神的にも非常堪えるものがあった。

 藤嶋健人、ゴンサレスといったBチームだけでなく、これまで幾度となくチームを救ってきた福敬登、谷元圭介までもが堰を切ったようにKOを食らった。ライデル離脱から10日も経たずして、リリーフ神話は完全に崩壊した。

 とは言っても打線が急にバカスカ打てるようになるわけでもなく、結局は中盤までに奪ったリードを細かい継投で逃げきるという、今まで通りの野球を続けるしかない。それは6連敗を喫した際の監督談話「何かを急に変えるわけにはいかないので、今までやってきた野球をもう一度しっかり見つめ直す」という与田監督の言葉にも滲み出ていた。

 残り5試合で、今さら何かをガラリと変えることは不可能だ。ならばつまらないミスを極力無くすよう注意を払い、あとはリリーフ陣に踏ん張ってもらうしかない。そして今日も、まさしく試合はそうした展開に突入して行ったのである。

 

終盤、敵が獰猛な牙を剥いた

 6回裏に木下拓哉の特大5号ソロでリードを4点と広げた段階では、さすがに今日は安心して勝利の瞬間を迎えられると思った。ところが日曜日の阪神戦を劇的なサヨナラ勝利で飾り、勢いに乗るDeNA打線(マシンガン打線とは今は呼ばないのだろうか?)は、終盤になってその獰猛な牙を剥き出した。

 7回表は谷元圭介が、8回表は福敬登がつかまってたちまち1点差に。その裏打線がつながり再びリードを3点差とするも、9回裏にマウンドに立った祖父江大輔が先頭にヒットを許してピンチを迎える。

 2死までこぎつけるも、「中日に親でも殺されたのか」でお馴染みのオースティンにタイムリーツーベースを打たれて2点差。なおも一発出れば同点の局面で、打席には怖すぎるソトが入った。

 祖父江よ、お前もかーー。これで祖父江まで崩れれば、もはや中日に打つ手はなし。座してBクラス転落を迎えるまでだ。カウント1-2からの4球目。外角低めのストレートを逆方向へとしばき上げた打球は、中日ファンの悲鳴と共に高く舞い上がった。

 この打球をかろうじてフェンス手前でライト・平田良介が掴んでゲームセット。長かった、あまりに長すぎた連敗もようやく止まり、急に緊張感が抜けたからか全身にドッと疲れが出るのを感じた。

 

死に物狂いの粘り

 もしこの試合を落としていたら、おそらく今季のドラゴンズはその時点で“終わって”いただろう。連敗は明日以降もズルズルと続き、ようやく観念して若手主体のオーダーに切り替えるやいなや大勝して「だから若手を使ってりゃ……」と非難轟々になるところまで目に浮かぶようだ。そうならなくて本当に良かった。

 それにしても、首の皮一枚ながらよく踏ん張ったと思う。2死一、二塁でオースティンから三振を奪った谷元はさすがの一言。福も1死三塁として森敬斗を抑えたのには意地を感じた。ここにきての又吉克樹の安定感は本当に頼もしい。そしてあと一本を許さない祖父江の凄みときたら。

 以前のようにピシャリというわけにはいかないが、それでもリリーフ陣の死に物狂いの粘りがチームに再び灯を点した。さあ、あと少しだ。全員で掴み取ろう、Aクラスを。