ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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勝利優先の起用

●1-3阪神(24回戦)

 大野雄大が投げる日は、中日が確実に勝てる日だ。今や球界を代表する大エースは、45イニング連続無失点の球団記録を引っ提げ、目下2試合連続完封をあげている阪神との最終戦に臨んだ。

 大野ならチームの悪いムードを一掃するような快投を見せてくれるに違いない。ほとんどのファンがそう信じていたはずだ。しかし幸先良く先制点をもらった大野はその直後、1番近本光司と2番糸原健斗の連打であっさりと同点に追いつかれた。あまりにもあっけない記録の幕切れ。さらに無死二塁としマルテにも内野安打を打たれ、続く大山悠輔のゴロの間に勝ち越しを許した。

 あれよあれよと言う間に大野が2点を失った。信じがたい光景だが、大野も人の子だ。まだ1点差。何とでもなる。そう、いくら相手が西勇輝とはいえ、本来なら何とでもなるはずの点差なのだ。しかし今日に限っては、初回の1点ビハインドが鉛のように重くのしかかった。

 

勝利優先の起用?

 昨日、8回の守備の際に左肩を負傷したビシエドは、やはり大方の予想どおり今日付けで抹消された。事実上の今季絶望。残りの9試合、中日はビシエド抜きの戦いを余儀なくされるのだ。その初っ端となる今日、ビシエドに代わって一塁スタメンに選ばれたのは堂上直倫だった。また安定しないライトには井領雅貴が入った。共に今季は2割前後と不調にあえぎ、起用を疑問視する声も少なくない中で与田監督が変わらぬ信頼を置き続ける二人だ。

 無理に取り繕うのも白々しいのではっきりと言うが、スタメンを目にした際に受けた第一印象は「ガッカリ」だった。いくらビシエドがいなくたって、井領、堂上の並びはどう考えても貧弱すぎる。ましてや相手は西だ。これじゃ追いかける展開になった時点で詰みではないか。本当にこれが与田監督の言う “勝利優先“ の起用なのかーー。

 とは言え上がってきたばかりの平田良介、そして昼間にウエスタンで2試合連続ホームランを打った石垣雅海を、夜もスタメンで起用するのが難しいのも分かる。平田、石垣を使わずして現有メンバーでオーダーを組むとなると、こうするしかなかったのだろう。冷静に考えれば、誰を起用したところで五十歩百歩のオーダーしか組めないのだ。ならば、選手を一番近くで見ている与田監督の判断を信じるしかあるまい。

 だが、いざビハインドを背負うと劣勢は明らかだった。快進撃の最中はたとえ負けていても、終盤に何かを起こしてくれそうな期待感があった。それが今日はまったく感じられない。逆転できるイメージが少しも浮かんでこないのだ。

 アルモンテが抜け、ビシエドも抜けた。主軸の外国人が二人も抜ければどこのチームだって苦しいに決まっている。分かっていたことではあるが、こうして現実として突き付けられると気が滅入るものだ。

 長打を補うべき福田永将はボール10個分くらい離れたスイングで空振りを連発し、阿部寿樹はリーグ独走のゲッツーを叩いて天を仰ぐ。挙げ句の果てには頼みの大島洋平までもが下降線となると、もはや6、7番だけの問題ではない。どうやらチーム全体が負のバイオリズムに突入してしまったようだ。

 シーズン中ならしばらく我慢すれば上昇ムードに転ずるという期待も持てるが、残り9試合では待っている間に終わってしまいかねない。今はただこの低迷が長期的なものでないことを祈るばかりだ。

 

 とにもかくにも呪われた甲子園をさっさと退散し、明日からはナゴヤドームでの7連戦(移動日挟む)が始まる。その中には、2.0差にまで迫ってきたDeNAとの3連戦も含まれる。おそらくそこで決着が付くことになるだろう。

 与田監督は、順位が確定するまでは勝利優先の起用を続けると断言している。勝利優先。イキのいい若手を使う事が、そのポリシーに反する行為とは限らない。明日こそは悪い流れを吹き飛ばすような “抜擢” を見てみたいものだが……。