ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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高橋宏斗、一本釣り!

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◇26日 プロ野球ドラフト会議

 

 入札8番目の阪神の指名が読み上げられた瞬間、胸を撫でおろした。中日を除く残る3球団はいずれも事前に指名選手を公表しており、横槍が入る心配はない。すなわち中京大中京・高橋宏斗の “一本釣り” 成功である。

 例年どおり夏の大会が行われていれば競合必至の超高校級右腕を、与田監督の豪運に頼るまでもなく獲得できたのだ。そこは大いに喜ぶべきだろう。しかし6巡目の指名を終え、本指名が選択終了となった際の中日ファンのテンションは一様に微妙なものだった。むしろ、あの高橋宏を一本釣りできたにもかかわらず「低い」と言っても過言ではなかった。

 2巡目で1位候補とも目された日体大・森博人を指名できたところまでは歓喜のムードに包まれたが、問題は3位以下の指名だ。なんと5位まで3人連続で素材型の高校生を指名したのだ。さすがにこの展開を予想していたファンはいなかったと思う。どうしても編成上の偏りが心配されるし、何よりも目下Aクラスがほぼ確実となり、来季はいよいよ優勝に向けて一丸というタイミングでの高校生偏重は一見すれば理解しがたい。

 この辺りを含めた今ドラフトの総評を、お馴染みのアマチュア野球研究家・yamadennis氏(以下、山)に伺ってみた。

 

投手偏重は石川昂、根尾の外野挑戦の伏線か?

――今回のドラフト、まずは全体的な感想と点数をお願いします。

 足りないパーツはきちんと指名しているのは良いですが、与田監督契約最終年の来季を考えると物足りなさはあります。点数は70〜80点位で、高校生の活躍次第で加算される感じでしょうか。

ーー物足りなさと言うと具体的には?

 現場の希望でもある即戦力になりそうな投手がもう一人いたら、と。

ーー層の薄さが課題となっている外野手も、結局6位の三好大倫選手(JFE西日本)を指名しただけでした。今川優馬選手(JFE東日本)など他にも獲れそうな候補がいたにもかかわらず回避したことについてはどのようにお考えですか?

 現状アルモンテや福田永将がどっかり腰を落ち着かせており、大島洋平も近い将来のレフト転向の可能性はあるにせよ健在です。世代交代は必要ですが、二軍で芽が出始めている選手の方がアマのトップより上と判断したのでは? もしくは内野が不動のメンバーで固まっているので、根尾昂や石川昂弥を外野起用する未来を想定したのかもしれません。

ーー石川昂弥が外野ですか。2年目に三塁から外野にコンバートといえば藤王康晴さんと同じ道を歩むことになりますね。

 ……それ言う必要あんの?

 

高校生コンビ、加藤翼はかなり良い!

ーー今回の指名選手のうち、高橋宏以外で「これは!」という指名はありましたか? 

 悩みますが、やはり森投手は早い段階から一軍に絡む力があるので、期待してしまいますね。

ーーあの日体大の森がウェーバー10番目の2位で獲れたのは本当に驚きでした。逆に4位の福島章太投手(倉敷工)、加藤翼投手(帝京大可児)は完全なる素材型との認識でよろしいでしょうか?

山 福島投手は甲子園練習会、加藤投手は岐阜大会の映像で見た印象ですが、どちらも完全な素材型ではない印象です。単に速いだけではないし、フォームも悪くない。特に加藤投手はかなり良いと思います。ただ、どちからと言うと対戦した岐阜第一の阪口樂選手(2年生)の方に度肝を抜かれてしまいました(笑)

ーー3位の土田龍空選手(近江)はいかがでしょうか。

山 やはり守備でしょう。タイプは違いますが、根尾もうかうかできない強敵です。

ーーショートのプロスペクトという位置付けですね。京田陽太を脅かす役割で石川昂のショートコンバートがあるのではと『中日スポーツ』に書いてありましたが、土田の入団でその必要も無くなりそうですね。

 京田はとんでもないレベルの選手なので、脅かすのは先の話ですがかなり期待しています。

ーー懸案事項の代打を補うような指名が無かったのは、阪神・福留孝介の獲得が水面下で進んでいるという見方もできる。yamadennisさんは賛否のある福留獲得についていかがお考えでしょうか?

山 福留に関しては難しいテーマですが、獲得することに異論はありません。代打としても戦力になるか疑問符がのこるのも確かです。

 ただ、かつての看板選手の花道を準備することも大事なことだと思います。クリーンアップを空けて何億円をお渡しする「誠意」を見せることは難しくても、慎ましいながらの誠意はあっても良いでしょう。
 特に若い世代や最近興味を持ったファンには中日・福留の姿を目に焼き付けて欲しい。福留を伝えることは球団の文化や歴史の伝承でもあるわけですから。

ーーなるほど。福留の話題になると熱がこもるのは我々世代の特徴ですね。最後に気が早いですが、来年のドラフトの展望を簡潔に教えてください。

山 1位が筑波大の佐藤隼輔投手、2位が岐阜第一の阪口樂選手で予約させてください。

ーーありがとうございました!

 

 ドラフトの結果を語れるのは最低5年、長くて10年後だとも言われる。現時点での評価はあくまで暫定的なもの。エース候補の高橋宏を筆頭に、縁あって中日のユニフォームに袖を通すことになった9名の選手達の健闘を祈りたい。