ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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未練が断ち切れない

 ドラフト会議を翌日に控え、中京大中京・高橋宏斗の1位指名を与田監督が公言した。先日のスカウト会議の時点では即戦力を希望する現場と、地元のスター候補が欲しいフロントサイドとで食い違いが生じていたが、最終的には「大学、社会人を含めてもトップクラス」というスカウトの説得に、現場が折れた格好となった。

 根尾昂、石川昂弥と同じくドラゴンズジュニア出身で、高橋本人も中日への強い想いを公言している。まさしく “竜の恋人” と表現しても差し支えない間柄であるが、一方で高橋以上に中日愛をアピールし、つい数週間前までは1位指名の最有力と目されていたトヨタ自動車・栗林良吏を振る形になってしまったのは正直言って口惜しい。

 そもそもずっと前から、今年のドラフトは栗林が獲れるかどうかが中日の焦点だと言われ続けていた。去る9月16日の都市対抗野球、東海地区2次予選が行われた岡崎市民球場にも米村、清水ら主要スカウトが集結。また10月4日放送の『サンデードラゴンズ』(CBC)では井端弘和氏がトヨタの練習場へ出向き、「ドラゴンズに入れたらいいなって思っている」との言質を引き出していた。

 相思相愛。この時点では誰しもが、中日は栗林を指名するものだと信じて疑わなかった。だが10月6日、進学が基本線だと思われた高橋が一転してプロ志望を表明。加藤球団代表の「(ドラフト戦略を)考え直さないと」との言葉どおり、一週間後に行われたスカウト会議翌日の『中日スポーツ』一面には「竜1位 高橋」の見出しが踊った。

 しかし昨年、一昨年とは違い、いわゆる “宣言” が無かったため、当日のサプライズ指名の線も捨てきれなかったが、遂に与田監督が高橋指名を公言したことにより栗林の中日入りの可能性は極めて低くなった。

 名城大の頃から指名が有力視されながらも、結局赤い糸は中日とは繋がっていなかったということか。ならば、これも縁。未練は断ち切り、明日は高橋の一本釣りだけを祈ろうではないか。半数以上の球団が既に1位指名選手を公表した中で、不透明なのは5球団。特に「投手でいく」とだけ表明している楽天の動きは読みづらく、警戒が必要だ(警戒したところでどうにもならんのだが)。

 思えば去年も石川昂の一本釣りが有力視されたにもかかわらず、蓋を開けてみれば3球団競合という波乱の展開が待っていた。しかも事前に怪しんでいた楽天ではなく、オリックス、ソフトバンクというノーマークの球団が横やりを入れたので驚かされたものだ。

 何が起こるか分からないのがドラフトの面白さであり、怖さでもある。果たして明日はどんなドラマが待ち受けているのか。いや、待ち受けてなくて良いから、どうか無風で済むことを祈るばかりだ。

 

スアレス攻略はまたしても木下の豪打

○5-1ヤクルト(23回戦)

 ドラフトに向けて弾みを付けたい今日の一戦。デーゲームでDeNAが勝ったことで、Aクラス確定へのマジックは「8」のまま変わらず夜の試合を迎えた。かなり余裕はあるとは言え、ここまで来たら早く減らしたい。

 しかしヤクルトの先発は、どういうわけか中5日でスアレスときた。今季は9試合に先発登板し、防御率が2点台を下回ったことがなく、中日も7月7日に対戦して6回1安打無得点と白星を献上している。実質的にはヤクルトの先発陣で最も手強い相手だ。

 ダントツ最下位に沈むヤクルトとあって勝ち越しがノルマのような雰囲気もあるが、スアレスとなるとそうは簡単には行かんぞと。そう腹を括っていたのだが、意外にも試合は序盤に大きく動いた。

 2回表、1死満塁。8番木下拓哉が狙い済ましたかのように振り抜いた打球は左中間を深々と破る走者一掃のタイムリーとなり、早々と3点を先制したのだ。なんだか毎日のように木下のことを書いている気がするが、それだけ攻守ともに活躍が目立つのだから仕方ない。

 以前の中日なら1死満塁と言っても打順が8、9番の時点でほぼ何も起こらずに無得点で終わっていた事だろう。それが一振りで3点入るのだから、オフェンス面での木下効果は計り知れないものがある。

 そして最後は祖父江大輔が難なくリードを守り切り、今日もトヨタ出身バッテリーで試合を締めくくったのだった。やはりトヨタ産は良い。トヨタ産はハズレがない……いかんいかん、栗林への未練が全然断ち切れとらん。