ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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太陽と埃の中で

●0-5広島(20回戦)

 「強者は負け戦で余計な消耗をしないものだ」

 とかなんとか調子ぶっこいた台詞を素で言えるほど、余裕綽々の敗戦だった。9連戦のラスト。当初は勝ち越せれば及第点、6勝3敗で御の字と想定していたが、蓋を開けてみれば7勝2敗。10日時点では借金1、2位阪神と2.0ゲーム差の3位に着けていたのが、今は貯金4まで増えて順位は3位阪神に1.0ゲーム差の2位と立場が入れ替わった。

 なんとかAクラス争いから脱落しないようにと、DeNAと阪神の後ろ姿を必死で追いかけていたはずが、いつの間にか追いかけられる側になっていたという喜劇的な展開。愛されるよりも愛したい。追いかけられるよりも追いかけたい。マジで。いや、そんな事はない。その昔落合博満も「追われるよりも追う方が不利」と言っていた。

 その通りだと思う。プロ野球80年以上の歴史を紐解いても、残り20試合を切ってから下のチームが上のチームを捲って逆転優勝を果たした数より、上のチームがそのまま逃げ切ってゴールテープを切った数の方が遥かに多いはずだ。

 とは言え、追われる側の方が圧倒的に精神的にキツいのは間違いない。なまじ早い段階で2位になってしまったため、ここからはDeNAと阪神の影に怯える地獄のような日々を過ごすことになる。

 近年とんとご無沙汰だった、懐かしいような感覚。2006年の阪神とのデッドヒートに比べれば全然マシだが、何しろ8年ぶりのAクラスが懸かっているのでそれなりの恐怖心はある。残り17試合、まだまだ厳しい戦いは続いてゆく。

 

最高の負け方

 5回裏、2死一、二塁。鈴木誠也の打球がレフトスタンドに弾むのを見て、連勝ストップを察した。今の勢いなら諦めるにはまだ早すぎるが、さすがにドラマがそうは続かないことくらい分かっている。

 この7連勝中、実に5勝が逆転で挙げたものだ。ここぞの場面でうまいこと一本が飛び出し、ここだけはという場面で見事に火消しに成功する。そんな夢のような試合があまりにも続きすぎたが、どう考えてもそろそろ負ける頃合いだ。

 問題は負け方である。できれば避けたいのは、いわゆる不敗神話が途切れての負け。つまり大福丸を投入して負けるのはショックも大きく、消耗も激しい。今後に引きずる恐れだってある。

 その点で行くと今日の試合は、ある意味で最高の負け方だった。10安打で無得点?  阿部ちゃんの様式美ゲッツー?  オーケーオーケー、そんな日もあるさ。端から大福丸がプルペンに入る必要もなく、又吉克樹、木下雄介、マルクという勝ち試合ではあまり出番のない投手たちが調整登板できたのも良かった。

 負けるならこんな試合をと思い描いていた通りの展開で、後腐れなく9連戦を終えることができた。

 

残り17試合はとにかく五分で

 破竹の快進撃で一気に順位をひっくり返したのは見事だが、一方でこれだけ勝っても4位との差が大して広がっていないことに正直、焦りもある。DeNA、阪神ともにしっかりヤクルトには勝ち越してくるあたり、やはり侮れない相手だ。

 そして大抵の場合、良い流れのあとには悪い流れが来るものだ。ここ数年で最大規模のビッグウェーブに乗った中日だが、それもそろそろ終わる頃だろう。たとえば去年は8連勝の翌日から8連敗という凄まじい浮き沈みを経験したが、今年はこのパターンだけは絶対に阻止せねばならない。

 おそらく3位の貯金ラインが「4」以上になることは無い。つまり残り17試合を五分で乗り切れば、Aクラスでフィニッシュできる可能性は極めて高いと言える。最近の勢いなら五分なんざ余裕のハードルだが、果たして勢いが落ちてからどこまで踏ん張れるかーー。

 そんなわけで明日からはゲンを担いで、チャゲ&飛鳥の『太陽と埃の中で』を毎朝聴こうと思う。

 「追いかけて 追いかけても つかめない物ばかりさ」

 まさに追われる立場のときに聴くべき歌である。