ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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代えどきの難しさ

○5-2広島(19回戦)

 7連勝である。貯金5である。中日ファンは玄関先に球団旗を掲げて祝意を表明すべきである(強制ではない)。

 ナゴヤドームでの快進撃は痛快であったが、まさかマツダスタジアムに来てもあっさり勝ち越しを決めてしまうとは。昨夜の “投” のヒーロー・谷元圭介の言葉を借りれば「出来過ぎだと思うが、これが今のチームの勢い」なのだろう。

 しかし、正直言うとさすがに今日はダメだと思っていた。明治大の先輩後輩対決となった森下暢仁と柳裕也の投げ合い。しかし今シーズンここまでの成績は森下の圧勝で、この日も立ち上がりの出来栄えからして柳が勝てる要素は何一つ見つからなかった。初回、3連打を浴びて早々と先制点を献上すると、2回にも2安打、3回にも追加点を許し、もはや責任投球回の5回まで投げ切れるかどうかも怪しいほどだった。

 一方、森下の力強いストレートとチェンジアップの緩急に翻弄された中日打線は1点を返すのが精一杯。これにしたって無死一、三塁から3、4番が連続三振を喫し、高橋周平がなんとか一矢を報いたものだ。ルーキーらしからぬ大胆さと冷静さ。敵ながら天晴れの投球だった。

 明大対決は後輩の圧勝ーー。序盤だけなら誰もがそうジャッジするだろうが、ここから先輩が意地を見せた。まさか柳がHQSを達成するとは、3回7被安打の時点では誰が想像しただろうか。最後は1死二塁から渾身の投球で連続三振に斬って取り、7回2失点で先発の役割を存分に果たしたのであった。

 そしてこの柳の粘投が、直後にドラマを生むことになる。

 

森下交代で高まった反撃ムード

 森下攻略の糸口すら見出せずにいた中日にとって、光が射したのは7回裏のことだった。

 直前の7回表も4、5、6番が三者凡退に終わり、森下の完投も現実味を帯びてきた終盤。ところが無死一塁で森下に打席が回ってくると、広島ベンチはいとも平然と代打を送ったのである。まだ球数も96球と多くなく、何よりも打たれる気配すら無かったにもかかわらずだ。

 佐々岡監督はまるで昭和時代のように先発投手を酷使すると聞いていたのだが、方針転換したのだろうか? もしそうなら、この交代は明らかに中日への追い風となった。

 8回表のマウンドに立った塹江敦哉も決して悪い投手ではないが、こういう展開になればどうしても森下と比べ、与し易い相手という印象を持ってしまう。逆に塹江にとっては1点を死守しなければならない難しい登板だったと思う。木下拓哉への不用意な四球は、そうした萎縮の表れでもあった。

 対して森下が去り、俄然反撃ムードの高まる中日打線は塹江、そして緊急登板のヘロニモ・フランスアに容赦なく襲いかかった。満塁とし、阿部寿樹、ダヤン・ビシエドの連続タイムリーで一挙逆転。少ないチャンスを確実に捉えた中日打線の一本勝ちである。

 広島サイドも嫌な予感は少なからずあったと思う。序盤、ヘロヘロの柳からヒットは打ちながらも2点どまりに終わったことが、後にじわじわと効いてくるのではないか? と。大抵こういう時の投手は、イニングを重ねるごとに立ち直っていくものだ。

 1点を返した直後の4回裏、そしてクリーンナップが並ぶ5回裏をいずれも三者凡退に抑えた時点で、流れは中日に来ていた。ただ、7回までは森下の壁に堰き止められていたものが、降板によって一気に溢れ出した。広島ダム決壊である。

 たらればにはなるが、おそらく森下続投なら今日の試合は負けていただろう。そのくらい森下の完成度は高く、残り2イニングでどうにか出来る道筋はまったく見えてこなかった。つくづく継投の難しさを痛感したと同時に、あらためて毎試合どんな展開でも必ず勝利に導いてくれる大福丸(と谷元)のありがたみに気付かされた。

 というわけで、9回裏のマウンドに立ったライデル・マルティネス 。昨日の内容からして少しだけ心配していたのだが、三者連続三振って。あんたエグすぎるよ。