ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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ホームランでよかった

○8-6広島(18回戦)

 昼過ぎ、「ソイロ・アルモンテ登録抹消」の一報が飛び込んできた。ある程度は覚悟していたとは言え、快進撃の立役者の離脱はあまりにも痛い。

 ホームランこそ多くないが、欲しい場面できっちりタイムリーを打てるポイントゲッターとしての貢献は計り知れず、21試合連続ヒットの記録もまだまだ伸ばせそうな気配だっただけに、本人としても無念の離脱だろう。

 与田監督は「筋肉が切れたとかそういう雰囲気ではない」と軽傷を強調するが、下半身は元々爆弾を抱えている箇所でもある。幸いにして10日間で復帰できてもスタメン出場は難しく、事実上残り試合はアルモンテの穴をなんとか埋めていく形になりそうだ。

 せめて手負いの初っ端はナゴヤドームで戦いたかったが、よりによって色々めんどくさいマツダスタジアムでの3連戦。試合は予想通りというか何というか……最後の最後まで手に汗握る激戦となってしまった。

 

ホームランでよかった

 ダメ押しで畳みかけ、5点リードで迎えた9回裏。何事も無く終わるはずだったラストイニングが、藤嶋健人の乱調によりにわかにきな臭くなってきた。無死一、二塁。高めに浮いたスプリットを鈴木誠也が見逃すはずもなく、打球はバックスクリーンへと消えた。追撃の3ラン。点差はたちまち2点に縮まった。

 ここでマウンドに上がったのはライデル・マルティネス 。展開を考えれば、今日は守護神には頼りたくなかったし、頼ってはいけなかった。そうは言っても背に腹はかえられぬ。ライデルの温存か、目先の勝利か。優先すべきは明らかだ。

 予期せぬ登板とあっていつもより球速は出ていなかったが、それでも抑えるのがライデルだ。四球こそ一個許したものの、ボルテージの上昇したマツダスタジアムの雰囲気もまるで影響なく反撃を阻止。リーグ最多に並ぶ20セーブ目でチームを6連勝に導いた。

 ただ、本調子でないライデルにとって幸いだったのは、鈴木がホームランを打った “おかげ” でランナーが一掃された事ではないだろうか。もし藤嶋がタイムリーを打たれていたら、ランナーを得点圏に置いた状況での登板だったら……。あるいは悪夢の「6x」アゲインまであり得た気がしてならない。

 点差こそ縮まったが、鈴木のホームランで中日ベンチがキリよく仕切り直せたのに対し、広島はランナーなしからライデル攻略という難易度の高いミッションに挑まねばならなくなった。

 あくまで結果論だと前置きした上で、ホームランは何よりも効果的だが、時には流れを断ち切ることもある。野球の難しさ、奥深さを感じたイニングだった。 

 

モンテの穴は全員で埋める

 何はともあれ6連勝である。ここまで来たら勝ち方は問わない。ゲームセットの瞬間に笑えていればオールオッケー。Aクラスをめぐる戦いは、とうにそういう段階に入っている。

 アルモンテ不在の打線は、見栄えとしてはあまりにも貧弱だった。分かっちゃいたけど、スタメンを見て頭を抱えたほどだ。それでも中日は勝った。しかもビジターで打ち勝った。アルモンテの代役に抜擢された遠藤一星は2本のタイムリーを打つ大活躍。今日に関してはアルモンテの穴埋め以上の働きぶりだった。

 思い出したのは2004年。優勝へと突っ走っていた9月頭の阪神戦にて、打線の軸・福留孝介が指に死球を受けて退場した。診断結果はシーズン絶望の骨折。日本シリーズにも間に合わず、中日は福留不在でのラストスパートを余儀なくされた。

 しかし驚くべきことに、翌日からも中日はペースを落とさずに勝ち進んだ。山井大介、高橋光信、森章剛といった伏兵たちが日替わりでヒーローになり、福留の穴を見事に埋めたのである。

 誰が、ではなく全員が必死で役割を果たせば、完全ではなくとも巨大な穴だって埋めることができるーー、あの時の戦いで授かった教訓だ。

 今夜は遠藤を筆頭にまさしく全員の力でもぎ取った勝利だった。こんな試合を続けていけば、自ずとAクラスにも近づくはずだ。