ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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ただ、勝つために

○4-0ヤクルト(19回戦)

 他人の大学入試の結果でこんなに動揺するのは初めてかもしれない。中京大中京の154キロ右腕・高橋宏斗が兼ねてから進学を希望していた慶應大の推薦入試に不合格となったことが判明。この日午後、プロ志望届の提出を表明した。

 高橋といえば地元の超逸材として中日スカウト陣も早い段階から1位候補の本命にリストアップしていたとされるが、本人の強い希望により進学が確実視されていたため、実質的に候補から外れていた。今回のプロ入り表明でドラフト戦略の根本からの見直しは必至。

 目玉不在といわれる今年度のドラフト会議だが、急転直下の高橋参戦により情勢は一変した。各球団の情報戦もますます熾烈を極めることになりそうだ。

 

気の毒ではあるが……

 衝撃的なニュースは続くもので。昼間にロッテのクラスタ問題、そして高橋の話題に仰天したかと思ったら、今度は夕方に「小川泰弘 体調不良で登板回避」ときた。37.3度の発熱というから通常なら無理して出場する程度の熱だが、何しろ状況が状況だ。

 さらに山田哲人、西浦直亨、石山泰稚の3選手もベンチを外れた。念のための措置だという。今回ばかりは敵の戦力低下をほくそ笑む気にもなれない。明日は我が身であると共に、これらの選手達の無事を祈るばかりだ。

 

 気の毒ではあるが、試合は試合である。先発の勝野昌慶は前回の阪神戦(9月29日)で5回5失点とノックアウトを食らうなど、ここ3試合ほど今ひとつの内容が続いている。

 そんな勝野にとってヤクルトは通算3勝を稼いでいるお得意様。ここでダメなら二軍降格もあり得るだけに、その投球からは危機感がひしひしと伝わってきた。まずは初回、いきなり先頭をヒットで許すもテンポよく2死を取ると、打席には4番村上宗隆。後続を考えれば敬遠策もあり得る場面だが、バッテリーは勝負を選択した。

 勝野といえば立ち上がりに不安があり、なおかつ大事な場面で萎縮する傾向がある投手だ。先週の阪神戦でも2死一、二塁からジャスティス・ボーアとの勝負を恐れるあまり四球を与え、満塁とし失点を喫したばかりである。

 今回も2死とはいえ、一つ間違えればスタンドに持っていかれる強打者だ。勝野のメンタルでは勝負しきれずに結局歩かせるだろうと思ったのだが、みくびっていた。初球にカーブでストライクを取ると、次は外角にストレートを決めて2球で追い込んだ。ボーアに対して変化球がまったく入らなかったのと同じ投手とは思えない。この2球を見れば、今日の勝野がいつもと違うのは明らかだった。

 結局ボールを一個挟んだあと、スライダーを膝元に曲げて空振りを取るというお手本のような組み立てで三振に打ち取って課題の立ち上がりを切り抜けると、バックの守備にも助けられながら中盤まで無失点に抑える好投を披露した。

 

ちょうど100球での降板

 この日、いちばん不安だったのが6回表の投球だ。直前に味方が無死一、三塁のチャンスを逸しており、もしここでバタつくようだと一気に流れが相手に傾くところ。そろそろ疲れも出てくるであろうイニングで勝野が持ち堪えられるかが非常に心配だったのだが、わずか10球で凌いだのを見て、半ば勝利を確信したのだった。

 てっきり完封までいけるかと思ったが、8回2死から連打を浴びて降板。まだ4点差があり、失点するまでは続投させるかとも思ったのだが、そこは大事なホーム8連戦の初戦である。個人記録を重んじたために万が一が起きたのでは目も当てられない。

 ましてや勝野は一軍での完投経験がない投手で、球数もちょうど100球目に達したところだ。一見すれば非情のようにも映るが、シーズン終盤らしい石橋を叩いてわたる継投策は妥当といえよう。

 

 最終回は4点差ながらライデル・マルティネスを投入するなど、手負いの相手を容赦なく潰しにいった与田ドラゴンズ。ただ、去年までの中日ならこんな状況でもあっさりと負けていてもおかしくはなかった。

 むしろこんな状況だからこそ、確実に勝利を掴みにいったとも言える。DeNAが負けて再び3位浮上。残り27試合、勝てる試合は死に物狂いで勝ちにいくのみだ。