ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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すごいよ! タンケとマサルさん

○8-5DeNA(16回戦)

 これぞ4番! これぞ主砲!

 壮絶なシーソーゲームに決着をつけたのは、2試合ぶりにスタメン復帰した4番・ビシエドの一発だった。

 2点のリードを2本のホームランで追いつかれ、7回表には満塁のチャンスを作るも代打・堂上直倫があえなく凡退。この展開になると、横浜スタジアムでは大抵勝てないことを中日ファンはよく知っている。負ければ3位DeNAとは2.5差。残り試合数を考えても危険水域といえるゲーム差だ。

 明日の相手先発は既に今年3勝を献上している濱口遥人で、その次は大貫慎一と予想されている。ヘタすると3タテもあり得るのではないか? このままズルズルと大型連敗に突入するのではないか?

 そんな風にして脳裏によぎった色々な不安、心配ごとを一気に晴らしてくれたビシエドの勝ち越し3ラン。バックスクリーンへの着弾を見届けた瞬間、喜びと同時に胸の奥から沸いてきたのは、プロ野球選手への畏怖の念だった。

 最近5試合で18打数2安打と打撃不振に苦しんでいたビシエドは、昨日の試合を久々に欠場した。与田監督はその理由を「コンディション。ずっと疲労困憊の中で、使命感を持ってやってくれている」と説明。外国人枠の関係でベンチからも外れ、一夜限りのリフレッシュ休暇を与えた格好だ。

 そうは言っても所詮はたった一日の休みにすぎない。一般の会社員ならリフレッシュ休暇が取れたら土日とくっつけて5連休とか、うまくいきゃ9連休くらいに伸ばして海外へ飛ぶ人だっているだろう。

 もし上司から「ゆっくり休んでいいよ。でも明日からはその分バリバリ働いてね」なんて言われた日にゃ、「たかが一日でどうリフレッシュしろと? アホか? お前はアホなのか?」とか言って、人目のつかないところで悪態つきまくるに決まっている。

 ところがビシエドはどうだ。休みと言っても試合前練習には参加。わずか数時間の休養を経て、今日は文句のひとつも言わずに4番の仕事を果たすのである。週末への日数を指折り数えながらウィークデーを過ごす私なんぞとは雲泥の差。いや、比べるのもおこがましいか。

 それでもビシエドのポテンシャルを考えると、15号は物足りない数字だ。ここから最終的に22、23号くらいまで持っていければ、チームの悲願は自ずと成就するはずだ。

 

 

勝ち筋を付けた渡辺勝の一打

 明日の『中日スポーツ』一面を飾るヒーローは間違いなくビシエドだが、陰のヒーローとして渡辺勝にもスポットライトを当てるべきだろう。

 一時逆転となる怒涛の攻勢をみせた5回表。先頭の木下拓哉がツーベースで出塁した後、代打出場の渡辺は追い込まれながらも一、二塁間をしぶとく破るヒットでチャンスを拡大した。この一打があったからこその一挙4得点。派手な点の取り合いの中で見落としがちだが、沈んだムードを打ち破り、勝ち筋を付けた一打だったと思う。

 渡辺といえば苦労人のイメージが付きまとう。荒川博の最後の弟子にして育成出身の経緯もさることながら、今シーズンは開幕一軍入りを果たすも6打席連続三振を含む7タコで降格。暑い夏は、炎天下のナゴヤ球場で汗を流した。

 ウエスタンリーグではまさしく無双の活躍をみせた。打率は驚異の.392を記録。出塁率に至っては.470である。二軍の帝王にしたっていくらなんでも高すぎる数字だ。すると26日に負傷の平田良介に代わって再昇格を果たし、ここまで3打席連続ヒットを記録。何かをつかんだかのように打ちまくっている。

 現代野球では通用しないと言われる王貞治タイプのフラミンゴ打法を頑なに通してここまでやって来た。背番号「212」から始まったサクセスストーリーが、大きな局面を迎えようとしている。