ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

細かい部分での“粗相”

●0-2阪神(18回戦)

 今日の負けは痛い。痛いなんてもんじゃない。ロードが9戦続く踏ん張りどころ。贅沢は言わないのでここを4勝5敗で乗り切れば、借金3で残りの28試合に臨める。内訳はホーム18、ロード10。Aクラス入りへ向けてかなり期待の持てる日程である。

 今日がその6試合目。もし勝てば3勝3敗となり、明日からのDeNA戦で1勝でもすれば一応のノルマは達成される。こちらの先発は阪神戦で投げるのは初のヤリエル・ロドリゲス 。25日ぶりの一軍マウンドという点はやや不安ながら、初見では攻略が極めて困難な投手である。

 対する阪神の先発は岩田稔。まだ今シーズン2試合目の先発で、前回のDeNA戦では5回3失点で勝ち負け付かずにマウンドを降りている。そもそも全盛期はとうに過ぎ、大ベテランの域に入りつつある36歳だ。当初3戦目の先発が予想されていた西勇輝ではなく、岩田が来ると分かった段階では安堵したものだ。

 まさかこの岩田に打線が沈黙するとは……つゆとも思わなかった。

 

細かい部分での“粗相”

 ヤリエルと岩田の息詰まる投げ合い。誤算だったのは、攻守に相次いだミスだ。4回表、ヒットで出塁した大島洋平は、2番京田陽太の4球目に走り、盗塁を成功させた。しかし塁上で大島はどこか怪訝な表情を浮かべていた。おそらくランエンドヒットのサインが出ていたのに、京田がこれを見落としたのだろう。

 たまたまボール球になり、たまたま梅野隆太郎が握り損ねたので盗塁成功という形にはなったが、どうかすると試合の展開を大きく左右しかねないミスになるところだった。ともかくラッキーにも無死二塁というチャンスが舞い込んだ。しかし、ここでまたしても致命的なミスが飛び出してしまう。

 高めに浮いたフォークを捉えた京田の打球は一瞬「おっ」と思わせる角度にもみえたが、思ったほど伸びずにセンターのグラブに収まった。だが大島はこれが抜けると判断したのか、あるいはセンター前へ落ちると思ったのか、既に三塁手前まで到達しており、あえなく二塁に転送されてダプルプレー成立。この日最大のチャンスは、まさに「あっ」という間に潰えたのだった。

 さらに守備でもミスが出たのが6回裏。無死二塁で北條史也のショートゴロを捌いた京田は、微妙なタイミングながら三塁で走者を殺すことを選択。しかしこの送球がホーム方向にやや逸れて野選になると、さらに北條の盗塁でたちまち無死二、三塁の大ピンチ到来だ。なんとか二死までこぎつけたところまでは良かったが、その直後の結果を見れば致命的なミスだったと言わざるを得ない。

 三塁での刺殺を選択したこと自体は間違っていないと思う。ただ、この重要な局面で送球ミスが起きてしまうツキの無さ。そして2死ツーストライクまで追いこみながら、最後の最後でバッテリーエラーが出てしまう詰めの甘さ……。

 こうした細かい部分での“粗相”を潰していかないことには逆転Aクラスの機運も萎むばかりだ。

 

勝負を分けた1、2番のパフォーマンス

 依然として2割2分台に低迷するなど京田の状態がなかなか上がってこない。サインを見落とした(と思われる)4回表の打席も、バントを2球失敗しており、打てないだけでなく小技も決められなくなっているのが心配なところである。

 大島、京田のミスが響いたのに対して、6回裏は阪神の1、2番コンビ・近本と北條にしてやられた。特に北條はコロナ禍で緊急的に上がってきた立場だが、陽川尚将の穴を感じさせないプレーで“竜叩き”を演出した。

 二塁に近本を置いた状況で、やってはいけないのは三振だ。北條はヤリエルのキレ味鋭いスライダーと150キロ前後のストレートの使い分けにも必死で食らいつき、8球粘った末にゴロを転がして野選を招いた。“転がせば近本の足なら進塁してくれる”、その確信のもと、執念で打ったゴロだったといえよう。

 実績で大きく劣る北條を「見習え」なんて言うのが京田に失礼であることは承知の上だが、果たしてあの無死二塁のとき、ゴロで進塁させるという意識をどれだけ持っていたのか。2番を打つ以上は京田にもこうした臨機応変なバッティングを求めたい。

 同じ無死二塁で痛感のミスをおかした中日と、持ち味を生かした阪神。それにしてもなぜ大島は飛び出してしまったのか。いっそ「中秋の名月に見惚れていた」とかなら納得もできるのが……。なんとも歯がゆい敗戦となった。