ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

MENU

勝野、弱気の虫にやられる

●3-7阪神(16回戦)

 「6連戦の最初に先発としての仕事ができなかったことが残念です。大事なところでのコントロールミスを反省します」

 降板後の勝野昌慶のコメントである。原口文仁のタイムリーも、糸井嘉男の2ランも、高めに浮いたストレート。たしかにギョッとするほど甘いコースだった。どちらも2アウトまでこぎつけた後の痛打とあって、悔やんでも悔やみきれない一球となった。

 思えば初回、暴投で献上した先制点も2死からだった。「あと一人抑えれば」がどうしても叶わない。粘りのなさ、懐の甘さ……、この辺りが安定した成績を残すローテ投手との差なのだろうか。

 ただ、それ以上に残念だったのは、勝野がピンチで逃げ腰になってしまったことだ。4回裏2死一、二塁。6番ジャスティン・ボーアを迎えた場面だ。勝野は一球もストライクに投げられず、4球すべて変化球が外れる形で四球を許してしまった。

 ホームランが怖いのは分かる。しかしコントロールが良くない投手が満塁の局面を作れば、打者はコースを絞りやすくなる。ましてや初回にスライダーを叩きつけて暴投にしているわけで、ストレートでカウントを稼ぎに来るのは明白だ。

 まさにその通りに高めのストレートを強振した原口。三遊間を抜ける間に2者が生還したが、むしろ長打にならなかったのがラッキーと言えるほどの甘い球だったと思う。

 ボーアの一発が怖いと言っても273打数で15本だ。しかも最近5試合で18打数2安打と不調気味なだけに、逃げ腰になる必要はなかった。野球にたらればは厳禁だが、もしあそこでボーアと勝負できていれば……反省の弁にあった「大事なところでのコントロールミス」も防ぐに越したことはないが、それよりも、もっと自分の投げるボールに自信を持つべきではないだろうか。

 

 

二軍では無双できるが…….

 今日が今シーズン8試合目の登板になった勝野だが、その投球スタイルは分かりやすく、“良いときは良い、悪いときは悪い”。まるで一昔前の山井大介のような投球が続いている。

 山井がその日の調子によって“神井”とか“病”とか言い換えられていたように、このままでは勝野も「なんだ〜今日は負野の日かよお」とか言われてしまうのも時間の問題だ(そしてそれは、名前に“勝”が付く選手の宿命でもある)。

 これで3登板続けて不甲斐ない結果に終わっており、普通に考えれば二軍再調整が命じられそうなところだが、来週の登板予定日はヤクルト戦である。通算3勝は、どういうわけかすべてヤクルト戦であげたもの。いわばお得意様への投球内容次第で勝野の命運は決まることになりそうだ。

 とは言え、既に勝野は二軍なら無双できる実力を身につけている。今シーズンもウエスタンリーグで20回1/3を投げて防御率0.89と、これ以上投げても上積みがない程度には二軍の打者達を牛耳っているのだ。

 にもかかわらず一軍マウンドに立つとボーアへの四球のように弱気の虫が顔を出すのは、なかなか結果が付いてこない焦りもあるのだろう。

 いっそのことヤクルト以外の球団相手にも白星が付くまでとことん先発起用して無理やり自信を付けさせるのも手だと思うのだが、さすがにAクラスが懸かっているだけに難しいか。

 

 これで甲子園での試合は今シーズン7連敗。昨年から数えれば9連敗にまで伸びた。8回表にはリリーフで出てきた藤浪晋太郎に対し、木下拓哉が見るからにビビりながら打席に入るという、いたたまれない光景もあった。木下は昨年、オープン戦を含めて3死球を藤浪から食らっているため、身体が本能的に避けてしまうのではないか。

 可哀そうだが、阪神からすればしめたもの。今後も木下に対して意図的に藤浪を起用することがあるかもしれない。ならばこちらも黙っているわけにはなるまい。藤浪に対抗し得る秘密兵器……行け、ブリトー。