ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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やられる前にやる

●1-5巨人(21回戦)

 まさに“初回がすべて”ーーある意味、投打ともに割り切れる内容だったと思う。

 ここ何試合か不安定な投球が続く戸郷翔征をいきなり攻め立ててチャンス到来。ここで点が入っていればその後の展開も大きく変わったのだろうが、チャンスがいつも点に繋がるとは限らないのが野球の難しいところでもある。

 『セイバーメトリクス入門』(蛭川皓平、2019、水曜社)によれば無死一二塁の得点確率は60%程度。言いかえれば40%は点が入らないわけで、今日は残念ながらそちらが出てしまったと割り切るしかない。クリーンアップで無得点はいかにも寂しいが、その後の打線沈黙をみれば戸郷の出来がよほど良かったのだろう。

 走塁ミスだとか相手のファインプレーに阻まれたのであれば歯がゆい気持ちにもなるが、力負けした分には「戸郷がすごかった」で済ませればいい。その裏、あっという間に2点を献上して早くも濃厚な負けムードが漂いながら、なんだかんだで9回の攻撃まで「ひょっとしたら」と思わせてくれたのだから、首位巨人を相手にそれなりに健闘したと言えるのではないだろうか。

 甘い、と叱られるかもしれない。だが相手は東京ドームの巨人だ。優勝マジックを順調すぎるほど順調に減らし、特に今月はまだ5回しか負けていないそうだ。正直、昨日の勝利であわよくば勝ち越しもいけるぞと意気込んだが、それこそ甘かった。こういう時にきっちり3戦目を取る抜かりなさこそが巨人の強さだ。貯金27は伊達じゃない。

 その巨人相手に、3タテを免れた上にボロ負け一歩手前で意地を見せられたことをポジティブに捉えたい。ここからの34試合は、いかに被3タテを回避できるかがAクラス入りへの鍵となるだろう。

 

状況はやや中日有利

 先日のお立ち台で大野雄大も言っていたとおり、このチームは借金2くらいまでは減らしても、そこからが遠く、たちまち逆戻りする傾向がある。原因は概ね3タテだ。3つ負ければ借金は3個増えるが、1つでも勝てば1個に留めることができる。どんなチームでも状態が悪い時期は必ずあるが、そうなったときに如何に1勝2敗で踏みとどまれるかが重要なのだ。

 ビジターばかりの9試合、とりあえず第一関門はマイナス1で通過できた。火曜日からは甲子園、金曜日からは横浜スタジアムと苦手な球場が続く。ここを最低でも4勝5敗、あわよくば5勝4敗で乗り切れれば、あとは10節中7節がナゴヤドームという恵まれた日程のなかでAクラス獲りを狙うことになる。

 しかも手ごわい巨人戦は、セ球団で最も少ない3試合を残すのみと、かなり中日有利な状況であることには間違いない。だからこそ29日からの阪神、DeNAとの対戦では被3タテ回避が必須。ここを踏ん張れば、8年振りのAクラス入りはかなり現実味を帯びてくるはずだ。

 

混迷を極めるローテ予想

 で、大事な大事な阪神戦の初戦を託すべき先発は誰かという問題だが、先週が祝日絡みだったこともあり予想は混迷を極める。順番でいけば勝野昌慶だが、試合の重要性からして大野雄大を当ててくる可能性もある。また、抹消になった岡野祐一郎が先週投げた木曜日には誰を持ってくるのか、ヤリエル・ロドリゲスの一軍復帰はあるのか……等、不確定要素が多くてローテが読みにくい。

 対する阪神は、高橋遥人、青柳晃洋、西勇輝という“竜殺し”の布陣を組むのではと囁かれている。せめて西は次節の巨人戦に回して欲しいのだが、もしこの3人となれば苦戦は必至。さらにその後のDeNA戦も井納翔一、濱口遥大、大貫晋一と中日が苦手にしている投手めじろ押しである。

 やはりどう考えてもこのロード9試合が今シーズンの山場だ。来週の今ごろ、果たしてどんな心境で『半沢直樹』なき日曜の夜を迎えているだろう。そもそもやられなければ1000倍返しする必要もなし。やられる前に、やるのみだ。