ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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死に物狂い

●3-6阪神(12回戦)

 表と裏。出る確率はそれぞれ五分のはずだが、8月のドラゴンズはどういうわけか裏ばかりに当たり続けた。何かと言うと、対戦ローテの話である。

 最後にいわゆる表ローテと対戦したのは、小川泰弘と当たった8月1日のヤクルト戦が最後。それ以降は菅野智之、大瀬良大地、今永昇太、平良拳太郎、西勇輝といったエース級とはいっさい対戦することなく、暑い夏を終えようとしているのだ。

 その間、ドラゴンズは4連勝を含む月間12勝をあげて借金を一気に減らし、混セに殴り込みをかけた。にわかに期待は盛り上がり、地元テレビ局やラジオ局の視聴率も軒並み好調だという。やはり野球は勝ってナンボなのだ。だが、浮かれ気分ではしゃぎながらも、どこかに一抹の不安を感じていたのも確かだった。“快進撃”と呼べば誇らしいが、たまたまエースと当たっていないだけと言われれば「ぐぬぬ」と反論できない事実。

 取りこぼさなかったのは立派とはいえ、もしエース級とぶつかってしまえば、たちまち勢いが萎んでしまうのではないか。悲しきかな、今回のカードでその不安は的中してしまった。

 

取りこぼしは許されない

 

 厳密にいえば、阪神の表ローテは西勇輝が投げる週末の布陣なのだろう。だがドラゴンズにとっては苦手の高橋遥人、青柳晃洋が出てきた今回のローテの方がしんどさでは上回る。約1ヶ月ぶりとなる難敵との対戦。こうも見るも無惨な結果に終われば、やはり先週までの快進撃も単にラッキーだったのかと疑わざるを得なくなる。

 幸いと言うべきか、明日からの巨人戦はまた裏との対戦だ。菅野も戸郷翔征も出てこない。一方、こちらはヤリエル・ロドリゲスと大野雄大を擁するバリバリの表ローテだから、最低でも勝ち越したいところ。ここで負け越しないし3タテを食らえば、たちまち戦況は厳しくなるのは必至だ。

 そして9月は一転して表ローテとの対戦が多く組まれている模様。やっぱり確率は五分に収束するというわけか。だからこそ取りこぼしは許されない。明日からの巨人戦は今後の流れを決めかねない重要なカードになりそうだ。

 

「今年は違う」と言うのなら

 

 今日が120試合中の60試合目。つまりシーズンのちょうど半分を消化したことになる。ドラゴンズの成績は借金4の4位。一時の惨状を思えばよく取り返したとも言えるが、その印象もこの3タテでずいぶん弱くなってしまった。

 良い面も悪い面も出た前半戦。ただ、良い面のほとんどは今月の快進撃で出たもので、総合的にみれば悪い面ばかりが目立った前半戦だったと思う。ローテの崩壊もそう。打線の低迷もそう。開幕前に「強み」とされていた部分がことごとくアテ外れに終わり、松葉貴大、福谷浩司といった思わぬ戦力の台頭でなんとか誤魔化しているような状況だ。

 今はかろうじて踏みとどまっているものの、キッカケ一つでズルズルと後退していくリスクは常に付きまとっている。今回の阪神戦、初戦に小笠原慎之介が8番木浪聖也に与えた四球からチーム全体が崩れたように、そこを食い止める底力が無いのは昨シーズンから何も変わっていないようだ。

 8連勝のあとの8連敗ほど派手ではないものの、快進撃から一転してあっさり3タテを喫する脆さ。調子が良い時に勝てるのは当たり前で、どこのチームだってそんなもの。重要なのは、調子が落ちた時にいかに連敗をしないかだ。

 だからこの3連戦は是が非でも1勝はしたかった。2試合は先制したにもかかわらず逆転負け。悔しい、悔しすぎる。小笠原、福谷、柳裕也が不甲斐なかったと言えばそれまでだが、そこをカバーできなかった打線にも責任はある。

 昨シーズンまでのドラゴンズなら、明日からの巨人戦も3連敗して泥沼にハマるところ。「今年は違う」と言うのなら、死に物狂いで連敗を止め、後半戦の反攻に繋げてくれるはずだ。泣いても笑っても残り60試合。こうなりゃチームもファンも死に物狂いだ、死に物狂い! ほら、なんか楽しくなってきた。