ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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ハイテンション ザ・ボーア

●3-11阪神(11回戦)

 同じ職場で一番関わりたくないタイプといえば、日によってテンションの浮き沈みが激しい奴は本当に厄介だ。昨日はバカな世間話なんかでケタケタ笑いながら盛り上がったのに、今日は挨拶さえ碌に返そうともしないほどドヨーンと曇っていて、周りから「あーあ、今日の○○さん、ダメな日だ」と陰で嘲笑されちゃうような人。どこの職場にも一人はいると思う。

 こいつの何がめんどくさいって、いちいち不機嫌の原因が自分にあるんじゃないかと不安にならなきゃいけないのが最高に鬱陶しい。で、しばらく様子をうかがってみて、どうやら他の人達に対しても分け隔てなく不機嫌だぞと分かると妙に安心するという、塵ほどの生産性もないあの無駄な時間。

 寝起きの子供じゃないんだからテンションくらい安定させてから会社来てくださいよと、できることなら懇願したくもなるのだが、今日の野球を見ていて「阪神のボーアってこのタイプだよなー」とぼんやり思ったりしたのだ。

 

ボーア、テンション上げ上げ

 

 打率2割4分、10本。1年目の外国人としてはそこそこの数字かもしれないが、「バース二世」との呼び声からすれば物足りないと言わざるを得ない。そもそも4番を期待して獲ったはずなのに、いつの間にか6番を打たされている時点で阪神的にもそこまで信用度は高くないのだろう。

 現にドラゴンズはここまで打率.161とよく抑えており、それほど怖いというイメージは持っていなかった。7月1日に岡田俊哉がナゴヤドームのライトポール際にぶち込まれたホームランなど、ツボにハマると凄まじい打球を飛ばす選手なのは分かっていたが、その分ウィークポイントもはっきりしているので、今の中日投手陣なら封じ込むのはさほど難しくもないとも思っていた。

 ところが、である。昨日、小笠原慎之介の失投を右中間スタンドに放り込んだあの瞬間、ボーアのテンションは完全に上向きになってしまったのだ。「ファイアボール」と自画自賛し、ベンチで「かめはめ波」のようなポーズ(ボーア曰く、これが「ファイアボール」なのだそう)をカメラ目線で決めたのを見て、嫌な予感はしていた。なんというか、悪ガキが「これから暴れたるでえ」と意気込むようなイタズラな目をしていたのだ。

 よりによって3連戦の初戦。これはめんどくさい奴を目覚めさせてしまったかも知れんぞと。その不安はものの見事に的中してしまった。1本目は0-0で迎えた2回裏、フルカウントから福谷浩司の失投を逃さずライトスタンドへとライナーで突き刺す一撃。そして2本目は6回裏、今度はレフトスタンドへと流しての特大弾。いずれも甘いコースとはいえ、打ったボーアを褒めるべき目の覚めるようなホームランだった。

 2試合3発。どうやらドラゴンズは、ボーアのハイテンション・スイッチを押してしまったようだ。ダメな時は淡白なスイングでとことんドン底をさまよう一方、いったんスイッチが入ればどこまでも打ちまくる。一般企業なら死ぬほど煙たがられそうなタイプだが、プロ野球ではこんな浮き沈みの激しい性格もある種の強みにもなるのだ。

 ただ、ここまで短期変動が激しい選手なら明日はどうなっているか分からないのも確かだ。昨日、今日はテンションの最高潮だったが、明日は一転してダウナーに突入しているかもしれないと、ドラゴンズとしてはそう信じないとやってらんない。

 なんたって明日の相手先発は天敵中の天敵・青柳晃洋だ。取れても1、2点という展開で、ボーアにノリノリで「ファイアボール」を打たれたようでは序盤で試合が決まってしまうだろう。

 11点も取られてGAORAの実況アナの絶叫をイヤというほど聞かされて、おまけに明日も苦戦濃厚ときた。三重苦に苛まれながら迎える朝。たぶん明日の私は挨拶も碌に返さないほどテンション低いと思う。ひいきの状態で浮き沈み。たぶんこれ、プロ野球ファンあるある。