ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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「そういえば最近9回に逆転されてなくね?」

○4-1広島(12回戦)

 「あれ? そういえば、あれってどうなったんだっけ?」

 普段何気なく生活しているなかで、すっかり忘れていたことをふと思い出す事ってたまにある。そもそも忘れる程度だから些細なことなのだが、一度思い出すとやけに気になったりするものだ。

 個人的に最近思い出した「あれ? そういえば…」はペプシコーラの宇宙旅行懸賞。時はまだ星野監督がブイブイ言わせていた1998年のことだ。なんとクイズに正解した人の中から抽選で5名に宇宙旅行の権利が付与されるという「PEPSI 2001 SPACE TOURS」と題した驚きのキャンペーンがCMをガンガン流しまくって大々的におこなわれたのだ。

 スタンリー・キューブリック監督の名作映画『2001年宇宙の旅』(1968年)で描かれた未来が間近に迫った当時としてはやけに現実味があり、そのインパクトの大きさもあってかなり話題になったのを覚えている。3年後なら宇宙旅行も実現しているかも!? と本気で胸を躍らせたものだ。

 しかし、2001年どころかそれから20年近く経った今もなお民間人の宇宙旅行など夢のまた夢。当然ペプシのキャンペーンは企画倒れに終わり、どうやら当選者には旅行費の一部である1,000万円がプレゼントされてこのキャンペーンは終了したようだ。

 さて、この与太話がどのように今日のドラゴンズの勝利に繋がるのかというと、実を言うと全然関係がない。ただ単純にペプシの宇宙旅行が気になって、その顛末を調べてみたというだけだ。あー、すっきりした。

 重要なのは宇宙旅行ではなく、書き出しの部分だ。

 「あれ? そういえば、あれってどうなったんだっけ?」

 中日ファンにも心当たりがあるはずだ。最近とんと聞かなくなった、あの言葉。聞かなくなったのも当然だ。なぜならいつの間にか解決しちゃっていたのだからーー。

 

クローザー問題解決

 

 ここ数年。具体的には岩瀬仁紀が外れ、田島慎二が崩れ始めた2017年から、ドラゴンズはとにかくクローザー問題に苦心し続けてきた。

 鈴木博志、佐藤優、岡田俊哉と打たれるたびにコロコロ変わり、評論家の多くもドラゴンズのウィークポイントとしてクローザーの不在を挙げた。しまいには試合終盤、特にリードして迎えた9回にまさかの逆転負けを喫することが目立ち、いつの間にか逆転負けはドラゴンズのお家芸としてネタ扱いされるようになってしまった。

 昨シーズンの後半から一応その座を守り、今シーズンもクローザーとして開幕を迎えた岡田だったが、7月9日のヤクルト戦での炎上により剥奪。代わりに抜擢されたのはライデル・マルティネスだった。

 ライデルといえば昨シーズンも一時期、クローザーを任されていたが、あまり良い結果が出なかったため、母国の代表戦出場のために一時帰国したタイミングで岡田にその座を譲ったという経緯がある。

 つまりまた元に戻ったわけだが、この1年間でライデルは目を見張るほど飛躍的に成長。今シーズンは17試合に登板してわずか自責点1と無双状態の投球を続けている。

 

苦手マツダでも無双

 

 ここまで6セーブ。今日は3点差と余裕のある状態での登板となったが、昨シーズンから7試合投げて三者凡退は1度だけと苦手にしているマツダスタジアムとあって、私は決してセーフティリードだとは見てはいなかった。

 しかも1番から始まる怖い打順だ。一人でもランナーを出せば鈴木誠也に回ってくる。ましてや二人出した状態なら、たちまち球場のボルテージは最高潮に達するだろう。

 そんなわけで点差ほどの安心感はなかったのだが、いざ蓋を開けてみれば「みくびっていた」としか言いようのない投球をライデルは見せてくれた。

 先頭の西川龍馬には160キロ近いストレートで押しまくり、フィニッシュは130キロ台のチェンジアップで一捻り。続くピレラをストレートとナックルカーブで3球三振に斬って取ると、最後は堂林翔太を1球で詰まらせてゲームセット。すごい、すごすぎる。こんなもん打てるわけがない。

 こうして課題だったクローザー問題も解決され、今では「あれ? そういえば、ちうにちは9回に逆転されるとかいう、あれってどうなったんだっけ?」と、トラウマ的だった苦しみも忘却の彼方に消えつつある。ちなみにライデルは2年契約なので来シーズンの在籍も確定済み。

 当分は穏やかに最終回を迎えられそうだ。