ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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選球眼の鬼リターンズ

○8-1広島(11回戦)

 郡司裕也が一軍の舞台に帰ってきた。

 昨日の代打出場に続いて今日はスタメンマスクを被り、福谷浩司との慶應大バッテリーを組んだ郡司。アリエル離脱の棚ぼた昇格とは言え、その高い能力をアピールするには絶好のチャンスだ。

 与えられたポジションは「7番・捕手」。8番ではないところに打撃への期待感が垣間見える。それもそのはず、今や遠い昔の出来事のようであるが、開幕前の時点で今シーズンの正捕手一番手は郡司だと目されていたのだ。

 当ブログでも主に打撃センスを絶賛。まだアリエルへの注目も低く、加藤匠馬が今ひとつピリッとしない中で、練習試合で連日ヒットを放っていた郡司は間違いなく頭ひとつ抜けた存在だった。

 ところが開幕直前の西武との練習試合、ホームタッチプレーでのいわゆる追いタッチによる失点など守備面での未熟さを露呈し、本人も「狙っています」と宣言していた開幕マスクの座を逃すと、6月28日の広島戦を最後に登録抹消。結局一軍でスタメン出場したのはわずか2試合。どちらも敗戦を喫し、自慢の打棒も7打数5三振と湿りっぱなしだった。

 あれから1ヶ月以上を過ごしたファームでも、その役割は石橋康太に次ぐ二番手捕手に甘んじた。やがてその名を耳にすることも減り、巨砲アリエルの登場により“郡司待望論”のようなものもめっきり聞かなくなっていった。

 しかしチャンスは思わぬ形で転がり込んでくるものだ。予期せぬアリエルの負傷と、9日の二軍戦で放った逆転ホームランが決定打となったのだろう。

 急遽、広島遠征に呼ばれた郡司は約1ヶ月半ぶりにスタメン出場を果たすと、“打・守”共に「郡司たまらん」としか言いようがない活躍で猛アピールに成功したのだ。

 

選球眼の鬼リターンズ

 

 実は二軍でも目立った活躍はなくても「らしさ」は存分に発揮できていた。

 打率こそ.303とまずまずの数字ではあるが、特筆すべきは出塁率だ。普通、打率.303に対する出塁率は.350程度が妥当なところだが、郡司の場合は.425を記録。昨シーズンのパ・リーグで最も高かったのが近藤健介(日ハム)の.422だと言えば、その凄さがお分かり頂けるはずだ。

 郡司の最大の武器はその卓越した選球眼にある。それこそ正確さはプロ野球界でもトップレベル。もちろん木下拓哉、加藤といったライバル達にはない魅力である。

 そんなわけで、ヒットが出るかどうかは置いておいて、やはり郡司が打席に立つと注目してしまうのが球数だ。今日の結果は次のとおり。

 

【第1打席】5球 ショートフライ

【第2打席】4球 レフト前ヒット

【第3打席】5球 センターフライ

【第4打席】2球 センター前ヒット

【第5打席】7球 四球

 

 いや〜、郡司たまらん。

 凡退した打席でも5球を投じさせ、甘い球が来れば早いカウントから打ちにいく。そして制球に苦しむ投手からは冷静に四球を選ぶという、開幕直後の粗さとは打って変わって積極性と冷静さが絶妙のバランスで同居した全5打席。

 やはり六大学三冠王の称号はダテじゃない。二軍OPS.849を誇る鬼が、アリエルのいぬ間に正捕手争いに殴り込みをかけにきた。今年の正捕手争いは、いつになくガチだ。