ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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明日の始発でよろしく

●1-6広島(10回戦)

 「何もありません」

 今季初先発も4回を5安打3失点(自責2)で降板した小笠原慎之介の無念がつまったコメントだ。

 4回裏、2死三塁で西川龍馬を三振に斬って取った小笠原はグラブをポンと叩いた。無論、ピンチを抑えた嬉しさから出た動作ではない。余計な失点を喫してしまった悔しさの表れである。

 この直前、二、三塁からセーフティ・スクイズを警戒した捕手の木下拓哉は中腰で高めを要求。「一球外せ」のシグナルを送ったが、小笠原の投じたボールは要求よりもやや外れたコースへと逸れた。これを木下が捕れず、無失点も見えていた局面で痛恨のバッテリーエラーが出た格好となった。

 記録は捕逸。たしかに叩きつけたワンバンでもなし、あれを捕れなかったのは完全に木下の責任だ。その直前にも木下は痛いミスを犯している。九里亜蓮の打席でスクイズを見破って三塁ランナーを殺しかけるも、一塁ランナーの動きに一瞬目をとられた隙に三塁ランナーは帰塁に成功。その間に一塁手ランナーは二塁を陥れ、みすみすピンチを広げてしまったのだ。

 そこから何とか立て直しかけた矢先のつまらないミス連打である。元々は自らが出したランナーとはいえ、やるせなさも一入(ひとしお)だろう。結局この回限りで降板した小笠原。復活を期したマウンドは、責任投球回を投げ切ることすら適わなかった。

 ただし、数字のうえでの結果ほど悲観的な印象は受けなかったのも事実だ。春先には140キロ出すのもやっとだった球速は最速148キロを計測。初回先頭の西川からストレートだけで3球三振を奪うなど本来の球の力が戻りつつあることがうかがえた。

 二軍ではそれといった結果を残せていないから心配していたが、むしろ一軍マウンドの方が良い球が投げられるのは、さすが甲子園優勝投手の肝っ玉といったところか。

 奇しくも昨シーズンの初登板も8月10日。しかし今年はまだシーズンの折り返しも迎えていない。ここからローテに食い込んで5勝程度をあげることなど、小笠原のポテンシャルからすれば容易いはずだ。

 

ペラペラの控え野手陣

 

 とは言え長野久義にいいようにやられたのは反省すべきだし、木下のミスも痛すぎた。だが今日の敗因が、淡々とアウトを重ねた打者陣にあることは疑う余地もない。

 9安打6得点の広島に対し、8安打1得点のドラゴンズ。チャンスで一本が出ない悪癖はもはや修正不可能なのか。ランナーをことごとく生かせない“各駅停車打線”がもっとも炸裂したのが8回表の攻撃だった。

 相手のエラーと2者連続単打でなんとか1点を返し、なおも無死一、二塁。一気に同点、逆転を夢みたのも束の間、福田永将が最悪のゲッツーに倒れ、一転して2死三塁とチャンスが萎んでしまった。

 それでも一発出れば同点だ。ここでベンチが動く。今日いいところの無い井領雅貴に代え、起用したのは堂上直倫。終盤の勝負所、ここぞという場面で登場する代打の切り札が、堂上直倫。

 正直、頭を抱えた。いや、そりゃ堂上のことは好きだ。それに去年は初の二桁ホームランを放ち、和製大砲の素質をちょっとだけ開花させたのも分かっている。冷静に考えれば手札のなかで一発の可能性が最も高い選手と言えるのかもしれないが、しかし、あまりにもなんというか……控えの層が薄すぎやしないか。

 アリエルが抹消された途端に代打の一番手が堂上になって、それに続くのが遠藤一星、武田健吾、三ツ俣大樹ときたもんだ。たしかにこの顔ぶれなら堂上は圧倒的な強打者だ。だから一発を期待したい場面で使ったのも、間違いではない。

 しかしこの薄紙のようにペラペラな控え野手陣で、アリエルの復帰まで持ち堪えるのはどう考えても厳しすぎる。たとえ見掛け倒しでも長打の可能性がある打者をひとり置いておいた方が、相手へのプレッシャーも違ってくるはずだ。

 というわけで石垣くん。名古屋から広島まで2時間ちょい。明日の始発でよろしく。