ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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苦手意識が克服できない

●0-2広島(8回戦)

 苦手意識を克服するのは何だって難しいものだ。「克服せねば」と意気込めば意気込むほど空回りし、結局前よりも更にドツボにはまることがよくある。

 たとえばピーマンが苦手な子供に無理やり食べさせようとしても逆効果にしかならないように、苦手を克服するにはあるとき急に「あれ、意外といけるじゃん」と気付くのを待つしか無いものだと思う。ちなみに私は成人を迎えるまでピーマンを克服できなかった。実に20年以上かかったわけだ。

 それでもプロ野球選手はどんなに対戦成績が悪い相手でも“苦手“で片付けるわけにはいかず、攻略の糸口を見つけ出そうと日々努力しなければいけない。

 今夜ドラゴンズが対戦したのは、まさにそんな“苦手”の筆頭ともいえるカープ・野村祐輔。果たして今日こそは憎き技巧派右腕を克服することができたのか。それとも子供の皿に残ったピーマンのように、苦手は苦手のまま持ち越してしまったのか。

 

難攻不落ではないのに、なぜ?

 

 4年前の最多勝右腕も昨季はわずか6勝どまり。年々下がる一方の成績推移をみれば、もう野村のことを“エース”と呼ぶ人間がいないのも頷ける。

 だがドラゴンズにとっては未だに野村は顔も見たくない存在といえよう。毎度のごとく苦戦を強いられ、昨季も6勝のうち4勝を献上、37イニングで防御率1.95と完膚なきまでにやられた。

 奪三振能力が高いわけでもなければ無尽蔵のスタミナを持つわけでもないのに、どういうわけだかいつも打ちあぐね、気付いたら7回2失点に抑え込まれる。そんなパターンを繰り返しているイメージが強い。

 菅野智之や大瀬良大地といった誰もが認めるエース級ならともかく、野村は決して難攻不落のタイプではない。それなのに、なぜーー。分からないからタチが悪い。ある意味、野村は最も厄介な投手と言えるのかもしれない。

 それでもシーズンが変わればツキも変わるもの、と信じていたのだが。蓋を開けてみれば昨季以上の(以下の?)完敗を喫してしまったわけだ。

 なにしろ5回まで1人のランナーさえ許さないパーフェクト投球だ。ようやく6回表に先頭の京田陽太がセーフティバントで突破口を開いても、後続がわずか5球で凡退ではどうにもならない。するとその裏、同じく無失点で踏ん張っていた松葉貴大が鈴木誠也の一発に泣いた。

 こういう試合展開で流れを変えるのは、やはり4番だ。皮肉にもドラゴンズは直後の7回表、無死一、二塁とするもビシエドの併殺打でこの日最大のチャンスを逸した。両チームの「4番の差」が試合を分けるポイントになった格好だ。

 

苦手意識のない選手を使うのも手

 

 投手の球速進化はここ数年で劇的に伸び、決して有名とは言えないクラスの投手が平気で158キロだとか160キロを投げる時代に突入した。

 長年、日本人の最速は「1993年に伊良部秀輝が清原和博との対戦でマークした158キロ!」と憶えてきた世代にとっては、ちょっと信じられないような進化っぷりだ。

 そんな時代の流れに逆らうように、野村は140キロ出るか出ないかの“遅球”で勝負する。今日も初回に出した139キロが最速。右腕でこのスピードなど、今どき高校野球でも強豪県のベスト4ともなればお目にかかれないレベルだ。それでも普段、スピードボールに見慣れているはずの打者たちが手玉に取られるのだから面白い。

 打てそうで打てない。なぜ打てないのか分からない。むしろ分からないからこそ克服できないのかも知れない。苦手ってそういうもの。カレーに混ぜたり、細かくすり潰したり、色々工夫しても子供のピーマン嫌いが克服できないように、打撃コーチやスコアラーがあれこれアドバイスしてもそう簡単に攻略できないからこそ“苦手”は根深いのだ。

 ところで昼間のウエスタンリーグでは若竜が16得点をあげる猛攻で大勝した。ヒーローは3安打2ホーマー6打点と大活躍の根尾昂だ。どうせ克服できないなら、次に野村と対戦するときは苦手意識のない真っさら状態の選手を使うのも一つの手ではないだろうか。

 ちなみに昨年、根尾は二軍で野村から4打数2安打を記録している。「その日」はそう遠くなさそうだ。