ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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心が整わない

●3-11阪神(6回戦)

 その昔、サッカー日本代表で長らくキャプテンを務めた長谷部誠による『心を整える。』という本が100万部を超えるベストセラーになった。

 アスリート本というと普通は技術指南書だったり自伝的な内容のものが大半であるが、この本は長谷部流のメンタルマネジメントを披露した点が画期的であり、サッカーファンのみならず女性やビジネスマンを中心に自己啓発本として支持されたことが異例の大ヒットにつながったそうだ。

 ある意味、最も日本中から注目される日本代表のキャプテンという職務を8年間も務め、「史上最高のリーダー」と称された長谷部のメンタリティとは如何なるものなのか。

 当時私も手にとって読み、プレッシャーのかかる状況での心の整え方など非常に学ぶべきことが多い一冊だったと記憶している。

 あれから約9年が経ち、当時は強かったドラゴンズもすっかり暗黒が板についてきた。いま私が声を大にしてドラゴンズの首脳陣、そして選手たちに言いたいのは、ミーティングや練習もいいけど、その前にまず『心を整える。』読もうぜ! ってことだ。

 ノーヒットで3点献上。お見合いで追加点献上。開幕からの細かいミスを数え始めれば到底両手じゃ収まりきらない。どう考えても今年のドラゴンズ、心が整ってなさ過ぎる。

 

チームの低迷が個々にも影響か

 

 四球、エラー、四球、四球、四球、犠飛で3失点。同点に追いついた直後の4回裏、梅津晃大と藤嶋健人がエアポケットに迷い込んだかのように制球を乱した。超満員の甲子園球場やマツダスタジアムなら場の雰囲気に圧倒されるのも理解できるが、5千人足らずの観衆でこれはいただけない。

 特に藤嶋は初球から高めにすっぽ抜けるなど、いかにも準備不足を露呈。投げた瞬間にそれと分かるボール球ばかりでサンズにストレートの押し出し四球を許すと、続く大山悠輔にも5球で押し出しと制御不能に陥り試合を壊してしまった。

 元々は急に崩れた梅津の尻拭いとはいえ、初回から35球を要して3失点を喫したのだから、梅津がそう長くは投げられないことは予測がつく。まったく予期せぬスクランブル登板でも無いし、おそらく2回あたりから徐々に肩は作っていたはずだ。

 藤嶋の魅力はどんな場面でも恐れずにストライクを取りに行ける強心臓とテンポの良さであり、それだけに今夜のどうにもこうにもならない投球はにわかに信じ難かった。チームが迷走している時というのは、選手個々のパフォーマンスにもこれだけ影響を及ぼすものなのか。

 久々の晴れ間に恵まれた今日の日本列島。本来の姿とは程遠い藤嶋の苦闘を目にし、このチームの頭上に居座る暗雲は過ぎ去るどころかますます濃くなっていると感じざるを得なかった。

 

「整う」どころか心ここにあらず

 

 結局、前回ナゴヤドームで食らわしたスウィープを阪神に十倍返しされたこの遠征。火曜日からは、どんな試合展開でも最後は必ず勝利をつかむ首位巨人をナゴヤに迎えての3連戦が待つが、現段階で巨人に1勝でもできるビジョンはまったく浮かばない。

 巨人が山崎康晃を攻略して逆転勝利を収めたその裏で、ドラゴンズは大島洋平の送球エラー、福田永将のファンブルと最後まで締まらぬプレーの連発で見るも無残な完敗を喫した。ただ弱いだけならまだしも、あまりにも集中力に欠けたプレーが多く、負けることよりもそちらの方が見ていてツライ。

 「整う」どころか心ここにあらずな状態でミスを重ね、淡々と負ける今季のドラゴンズ。こんな環境じゃ石川昂弥も育つに育たないよ。いったい俺たちのドラゴンズはどうなっちゃったんだ。