ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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こんなの福田じゃない

●1-4阪神(4回戦)

 ひいきの試合を見ていて一番ストレスがたまる展開って何かと言えば、残塁が多い試合だと思う。

 打てども打てども得点につながらない。こういう展開は不健康だ。何せイラつきの対象が相手投手だけでなく、チャンスを生かせない味方の打者にまで向くことになる。ゆえにドラゴンズ戦の実況タイムラインはいつも殺伐としているわけだ。

 その点、今日の試合なんかはストレス指数が比較的低い展開だった。なぜなら苦手の青柳晃洋の前にチャンスらしいチャンスもほとんど作れなかったから。淡々とゴロを転がし、淡々とアウトを積み重ねる“作業”のような攻撃とでも言おうか。そこには手に汗握る緊迫感もなければ、天を仰ぎたくなるような悔しさもない。ただ黙々と打ち取られ、気づけばビシエドのホームランによる1点どまりで終盤を迎えていた。

 7回裏に決定的ともいえる4点目を献上すると、阪神は必勝リレーに突入した。好投の青柳に代わって登場したのは岩崎優。やはり昔からドラゴンズが苦手としている軟投派サウスポーだが、青柳を打ちあぐねていた身としては投手が変わっただけでも付け入るチャンスを得たという気分だった。

 その岩崎は先頭の木下拓哉にストレートの四球を許すと、1死から大島洋平がヒットで繋いで一、二塁という局面がおとずれた。ここで打席には2番平田良介。打率1割6分台という信じられない低迷にあえぐ15年目のベテランは、ここでもあえなく空振り三振に倒れた。しかし一発出れば振り出しに戻る場面だ。ドラゴンズでは数少ないホームランを期待できる打者・福田永将が代打で登場する。

 今季はいまだホームラン無し。そろそろ出るのではという期待も虚しく、果たして当てただけの打球は力なく焦げ茶色のグラウンドを転がり、この日一番のチャンスも無抵抗のまま潰えたのであった。

 

打つ予感がしない福田

 

 平田と福田。2000年代の後半、この2人は間違いなくドラゴンズが誇る貴重なプロスペクトだった。将来のクリーンアップ候補と目された2人は確かにそれを実現させたとも言えるが、残念ながら期待していたほどの成績は残せないままここまで来た感は否めない。

 特に長打力が最大の売りである福田は30ホーマー打てる逸材として早くから注目を集めたが、相次ぐ怪我とコンバートの影響か初めて二桁に乗せたのが10年目の’16年と遅く、キャリアハイの数字も30本はおろか20本にさえ届かない18本(’17、’19年)とやや物足りない数字に収まっている。

 人柄の良さが災いしてか「ここぞ」の場面に滅法弱いのは昔から同じ。特に勝敗を決するようなシーンになると緊張で顔がこわばり、ボール球に手を出してしまうのが永遠の課題ではあるが、ある意味ではそれが福田の魅力だったのかもしれない。

 言うまでもなく福田に期待しているのは長打だ。打率は2割5分でも、ホームランの可能性があるから相手はビビるし、レフトスタンドに架ける芸術的な放物線は福田にしか描けない美しさを持つ。

 だから、いくらチャンスに弱くても福田が打席に入ると心のどこかでホームランを期待してしまうのだが、今季はどうも打つ予感が全然しないのだ。今日の打席だってそうだ。カウント2-2。もうストレート一本に絞ってもいい状況で、そのストレートに泳がされるようではどうしようもない。

 違う、こんなのは福田じゃない。もっとこう、空振り上等で豪快に振り切るのが福田の魅力ではなかったのか。縮こまったスイング。三振を恐れるあまり当てることを意識し過ぎたバッティング……。こんな福田は見とうなかった。

 もやもやしていたら、ふと応援歌の歌詞を思い出した。

 「雄々しく構えた その姿 迷いなく振れ 福田永将」

 今の福ちゃん、迷いっぱなし。