ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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開幕戦めぐり合わせ奇譚

 まさか2020年の開幕戦の舞台が神宮球場になるとは思いもよらなかった。中日とヤクルト。奇しくも昨年の5位と6位。7年連続Bクラス中のチームとしては、広島や巨人に比べれば戦いやすい相手だと思う。Aクラスのアドバンテージを得られなかった広島には気の毒だが、バティスタの件もあったので足し引きゼロといったところか。

 ところで昔は開幕戦の対戦カードは、セ・パ共に前年の順位を基にして決められていた。それが2002年、サッカーW杯に対抗して全国各地で満遍なく開催するというよく分からない目論見により変更。ドラゴンズも01年は星野監督がフロントと揉めたり、そもそも星野の中日への飽きなどでモチベーションを失っていたこともあり5位に沈んだが、この措置により02年は前年Bクラスにもかかわらずナゴヤドームで開幕戦を迎えることにになった。

 

星野監督のくだり、要るか?

史実なんだから仕方ないだろ

 

 ところが、それでは01年にAクラスになったチームが不憫だというわけで、翌年からはセは2年前パは3年前の順位に準拠するという現行のややこしい方式が取り入れられることになった。念のために言っておくが、サッカーは何も悪くない。当時のコミッショナーだかオーナー会議だか知らないが、とにかくお偉いさん方がトチ狂ったのが諸悪の根源である。今年の混乱を機に、また昔のように前年準拠に戻して欲しいと思うのは私だけではないはずだ。

 

神宮での開幕は中日史上初

 

 話を戻そう。ヤクルトとの開幕戦は07年以来。ところが神宮球場となると思い当たる節がない。それで調べてみたら、なんとドラゴンズ84年の歴史でも初であることが分かった。まさかと思って調べ直してみても、過去のヤクルト(前身含む)との開幕カードはすべてナゴヤが舞台。たった6チームしかないのに巡り合わせとは不思議なものである。

 そういうわけで密かに歴史的な開幕戦となるのだが、ヤクルトはこれもまた渋く、すでに開幕投手は石川雅規で決定、本人にも伝達済みだという。プロ野球史上5人目の40歳代の開幕投手。となれば中日ファンとしては山本昌が思い浮かぶが、意外にも山本が最後に開幕を務めたのは02年で36歳のとき。球団最年長記録も14年に川上憲伸(38歳)に譲っている。

 そもそも山本昌があれだけのキャリアを持ちながら開幕投手を4回しか務めたことがないのも意外である。ちょうど全盛期が今中慎二と被ったため、初めて開幕に抜擢されたのは14年目の97年と遅かった。このときも当初は今中が行く予定だったが、故障離脱により山本に出番が回ってきたという流れ。01年は「開幕投手はチームの顔、日本人やないといかん!」という星野監督の意向があったのかどうかは不明だが、前年最多勝のバンチではなく11勝の山本が選ばれた。翌年はエースの野口茂樹が故障で出遅れ2年連続で大役を任されたが、これも消去法の感が否めない。

 文句なしのエースとして真っ新なマウンドに上がったのは前年最多勝を引っさげての98年だけ。この年に入団した川上憲伸が7度も開幕マウンドを踏んだことを考えても、通算214勝の球団史上最多勝投手は開幕にあまり縁がなかったと言えるのかもしれない。

 

柳の可能性も

 

 話を現在に戻そう。ドラゴンズの開幕投手は大野雄大でほぼ決まりと思われるが、与田監督は「変なこだわりは持っていない」と土壇場でのチェンジにも含みを持たせた。というのも、大野はオープン戦で4試合に登板して防御率7.53と振るわず。昨年11勝をあげた柳裕也が練習試合の広島戦で6回1失点と結果を残したことから、柳を推す向きも少なからず見受けられる。

 最終的には2日から始まる練習試合の内容で判断するものと思われるが、「大野で決定」というニュアンスで記事を伝える各メディアの動向は、やや拙速と言わざるを得ない。逆張りするわけではないが、私はまだまだ柳の可能性もあると見ている。