ちうにちを考える

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セ・リーグDH導入論、再燃か

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MLBの今季開催案に両リーグDH制導入や、選手登録の新ルールなどが含まれる見通しとなった。

10日付のニューヨーク・ポスト電子版によると、主に投手の負担軽減を目的にア・リーグのみだったDH制をナ・リーグでも採用することが濃厚。選手登録は、ベンチ入り選手約30人、ベンチ外の選手約20人とし、試合ごとに交代できるシステムにするという。

 

 7月開幕を見据えるMLBに興味深い動きがあった。両リーグでのDH制採用。出場してなんぼの世界で野手の出場枠を一つ増やし、1人でも多くの選手に出場機会を与える意図があるのだろう。特にレギュラーの当落線上にいる選手にとってはスタメン枠が増えることはこれ以上ないチャンスだ。試合数の大幅減で収益もガタ落ちするなかで、選手側に寄り添った制度変更をスピーディに決定できるのはさすがメジャーリーグといったところか。

 この動きを受け、プロ野球の選手会が同様の要望を提案する可能性は高い。そもそもセ・リーグのDH制採用は昨年から巨人・原辰徳監督が事あるごとに前向きな姿勢を示しており、広島を除く他5球団のコンセンサスが既に取れているという噂もある。

 3月8日に放送されたNHK『サンデースポーツ』の「セ・リーグ監督座談会」では一堂に会したセ球団の監督に対して原が「簡単に言うと、やりたいのか、やりたくないのか」と前のめりで詰め寄る場面もあり、中日の与田剛監督は「打撃に特化した選手が育つ可能性」を示唆し、明言こそ避けつつも一応の賛意を示した。

 ここ15年ほどの日本シリーズでの圧倒的なパ・リーグ優勢を背景に、ファンの間でもしばしば議論が巻き起こるこの問題。仮に今季、メジャーに追従してセ・リーグが採用した場合にドラゴンズはどう戦うことが想定されるのか。考えてみたい。

 

打線強化に全振りできるパ

 

 現行の日程ではセのチームがDH制を敷く試合は日本シリーズを除けば、パ・リーグの本拠地で戦う交流戦の9試合に限られる。このためセのチームはDHに適した打撃特化型の選手を使うというよりは、普段のレギュラー格のなかでやや守備に不安のある選手をDHに置き、代わりに控えの1番手ないし2番手の選手をスタメンで使うという起用法が目立つ。

 昨年のドラゴンズの場合、パの本拠地でおこなわれた9試合中6試合で福田永将がDHを打ったが、代わりにレフトを守ったのが藤井淳志(5試合)松井佑介(1試合)ではお世辞にも打線が強化されたとは言いがたい。

一方でパ・リーグはソフトバンクがデスパイネ、オリックスがロメロといった具合に“打線強化に全振りしたDH起用”が主流になっており、セ、パの野球観の違いがうかがえる。不本意ながら、スタメンの顔ぶれを見ただけで力の差を感じてしまうのもやむを得まい。

 

現状、アルモンテが無難

 

 ただし、昨年の交流戦の時期は外国人枠がダブついた関係でアルモンテが2軍暮らしを余儀なくされていたことを忘れてはなるまい。膝の具合が悪いアルモンテにとってDH制が出場機会を増やすチャンスなのは言うまでもなく、シエラがよほど打ちまくらない限り、その座を射止めるのはアルモンテで間違いない。福田永将、ビシエド、アルモンテが並ぶクリーンアップは相手投手からしても脅威だろう。

 今季はロメロの長期離脱により、外国人枠に1つ余裕ができたのもアルモンテには追い風だ。守備の負担なく1シーズン通して打撃だけに集中したアルモンテがどれだかの成績を残すのか、想像するだけでワクワクする。一時は育成落ちも取り沙汰された男が不動のレギュラーポジションを奪取する、こんなドラマが見られるならDH制導入もなかなか良いものではないか。

 

ロマン起用なら石川昂弥!

 

 無難にみればアルモンテ。だが、ロマンを求めるなら石川昂弥の起用もおもしろい。現状では高橋周平とポジションが被るため、外野コンバートでもしない限りレギュラーは掴めないとされているが、DH制が採用されればこんな悩みも一挙に解決だ。

 両者とも守備力は双璧(と言ったらGG賞授賞者の高橋に失礼か)なので、どちらをDHに置くかは意見が分かれるところであるが、かつて立浪和義や福留孝介がそうであったように、時には“オールフォーワン”で1人の選手を育成する覚悟も必要だと思う。

 DHというと、どうしても外国人か足の衰えたベテランが座るイメージがあるが、昨年パ・リーグのMVPに輝いた森友哉は3年目の2015年に主にDHで出場し、17ホーマーを放ってブレークしている。頭抜けた打撃センスを持つ選手に関しては、敢えてDH起用で打力を最大限に伸ばすのも方法の一つということだ。賛否両論あるだろうが、早く石川昂をスタメンで見たいファンには一定の支持を得られるのではないだろうか。

 ファンだけではない。あの山﨑武司氏も「早くナゴヤドームで見たい」と前々から絶賛し、かつて「藤王(康晴)は必ず大物になる!」と豪語した宇野勝氏も、自身のYouTubeチャンネルで石川昂の開幕スタメンを推している。中日が誇るレジェンドスラッガー2人も待望する天才ルーキーの1軍デビューが近づくなら、やはりDH制の採用は楽しみの方が大きいと言えそうだ。

あろうことか山﨑と宇野

2人とも選手としては凄かったんだぞ! 選手としては