ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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ここまで凄いのか、石川昂弥は

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 中日のドラフト1位ルーキー・石川昂弥内野手(18)が17日、広島との2軍の練習試合(由宇)でスタメン復帰し、根尾との3、4番コンビで1点をもぎとった。
 プロ入り初の「4番」で先発出場すると、4回2死一塁で迎えた第2打席。中前打で出塁した3番・根尾に続き、2016年の沢村賞左腕・ジョンソンから右中間を破る適時二塁打を放った。

 

 左肩腱板炎の発症が2月16日のこと。当初から仁村二軍監督は「シーズン中ならやらせている」と軽傷を強調したうえで、慎重に慎重を重ねて別メニューで調整させてきた。バットを持っても軽めのティー打撃に留め、ようやくフリー打撃を再開したのが先日の13日。

 インタビューのたびに「打ちたい」欲求を隠さない18歳のスラッガー候補に禁欲を強いたのは、故障箇所の治癒を最優先に考えたからに他ならない。

 14日のソフトバンクとの練習試合では故障後、初めてとなる実戦の打席でいきなりヒットを打ち、モノの違いを見せつけた。そして今日、満を持してのスタメン復帰はいきなりの「4番三塁」である。

 対するはテン年代最高レベルの助っ人・ジョンソン。いくら石川が金の卵とて、そう簡単に打てたのでは1軍選手の面目が立たない。現に昨季は4試合で対峙し、防御率1.95と完膚なきまでにやられた。昨季だけではない。沢村賞を受賞した2016年に至っては5試合で3勝を献上し、防御率は驚異の0.79。もはや顔も見たくない相手なのだ。

 今季も予定どおり20日開幕なら第2戦か3戦目の登板が濃厚視されていたが、延期によって今日の練習試合での調整登板となった形だ。ジョンソンにとっては単なる調整でも、石川にとってはいきなり超一流の投手のボールを見られるチャンスだ。とは言え1ヶ月近くも打撃練習を禁じられ、頭から出場するのも復帰後初めてとなればバットに当てることさえ難しくて当たり前。なんとか打球を前に飛ばせれば合格点かと思っていたのだが、まさか2打席目にしていきなり長打を放つとは。石川の才能を侮りすぎていたようだ。

 結局この日は5打席に立ってヒットはこの1本だけだったが、何しろ打った相手がジョンソンなのだから10本分の価値がある。それも内野安打とかエラー気味のヒットではなく、右中間突破のタイムリーツーベースだ。凄い、凄いとは言われているが、ここまで凄いのかと身震いした。明日の中スポ1面も間違いなく石川が飾ることになるだろう(3月18日朝追記:1面は「JOC田嶋副会長もコロナ陽性」でした)

 

 

根尾、ミスタードラゴンズへの道

 

 4番石川ばかりが注目されるが、この男も黙っちゃいない。3番根尾昂も猛打賞1盗塁の大活躍をみせた。降格ではなく出場機会を得るための実戦調整。今はまだ“1軍”に籍を置く競合ドラ1の先輩がプライドを示した格好だ。

 根尾の躍動を見ると、ちょうど1年前のことを思い出す。昨年は3月15日に開幕したウエスタンリーグ。根尾は最初からフル出場の英才教育を施された。とてつもない期待と声援を受けて始まった待望の実戦だったが、そのバットは空を斬り続けた。

 最初の5試合で22打数2安打11三振。ファンは「まだ目が慣れてないだけ」「故障明けだから仕方ない」と必死にポジティブに考えようとしたが、攻守ともにプロのレベルに達していないのは誰の目にも明らかだった。ただ、それを認めてしまうと1年間の楽しみを失うことになる。だからどれだけ三振しようとも、「これも経験だ!」「将来の糧だ!」と努めて前向きに捉え続けた。ほとんど自分自身に言い聞かせるように。

 今だから白状するが、根尾の打席に一喜一憂しながら過ごす1年間は本当にしんどかった。特に8月は、前月にようやくプロの水にも慣れてきたかと思わせておいてからのドン底だったので、夏バテしたわけでもないのに食欲が落ちるほどへこんだ。終わってみれば86安打に対して三振の数は127。未知なる成績を叩き出すのではと騒がれた天才ルーキーは、初年度から派手に期待を裏切った。

 あれから1年が経ち、石川昂弥という逸材が入ってきた。たぶん今年は根尾よりも石川の打席に注目することになりそうだが、やっぱり根尾も気になるし、活躍すれば飛び上がるほど嬉しいものだ。

 今日の広島戦。去年の根尾なら振っても振っても当たらなかったであろうジョンソンから2本もヒットを打ったのだから、着実に成長はしているし、高卒2年目としてはそこそこ順調とも言えるのかもしれない。だが、この程度では喜びたくない。いつの間にか低いレベルで満足する癖が付いてしまったが、根尾はこんなものじゃないと知っているからこそ、入団当初のあの期待感をもう一度思い出して今季は少し厳しく見ていきたいと思う。

 猛打賞? でも2三振を喫したのだから、まだまだ。ミスタードラゴンズへの道は長く、険しい。