ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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打てる捕手レボリューション

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 6日の楽天戦と同じく小笠原慎之介-郡司裕也の同級生バッテリーで臨んだ今日のロッテ戦。小笠原は再三ピンチを背負うもロッテ打線の拙攻と京田陽太の好守にも助けられ、なんとかオープン戦ラスト登板を6回2失点にまとめた。

 ただ、投球自体はいつ大量失点を許してもおかしくない不安定な内容で、このままの状態で開幕に入れば2,3登板に一度は炎上を覚悟しなくてはならないだろう。

 

まさに結果オーライ。奪三振ゼロは寂しすぎるぞ

2安打されたマーティンが3打席目に退いたのもオープン戦ならでは。公式戦なら2点じゃ済まなかったろうな

 

打てる捕手誕生には絶好のタイミング

 

 今ひとつの小笠原に対し、評価を上げたのが女房役の郡司だ。先頭打者で迎えた3回の初打席、低めのストレートを逆方向に跳ね返してツーベースを記録。自慢の打棒をまたしても発揮し、この回3得点の口火を切った。相手の西野勇士は通算88セーブを誇るバリバリの一線級なだけに、その打撃が1軍でも通用することを証明した格好だ。

 当ブログでは一貫して郡司を我慢して起用すべきだと主張しているが、開幕戦は大野雄大との相性で加藤匠馬がマスクを被ることが濃厚となった。昨季の実績からみても加藤が現状の第一捕手(敢えて正捕手とは書かない)であるのは間違いないし、加藤はそれに相応しい能力を持っているとも思う。

 ただ、郡司には魅力的な打力がある。野球が点取りゲームである以上、打力が何事にも代えがたい武器になるのは疑いようのない事実だ。古田敦也、城島健司、そして阿部慎之助に代表されるように、圧倒的な打力を持つ正捕手が君臨するチームは例外なく黄金時代を築いてきた。通常、打力を度外視する「8番捕手」がチーム屈指の強打者に置き換わるのだから、打線全体が活性化するのも至極当然である。

 偶然にもナゴヤドームには来年からホームランテラスが設置されると言われている。“打てる捕手”が誕生するには絶好のタイミングといえよう。

 

 

阿部も1年目はリードに苦戦

 

 よく指摘されるように、郡司は大学時代からキャッチングに課題を抱えてきた。いわゆる壁性能だけでなくフレーミングも上手とは言いがたく、加藤、石橋康太といったチームメイトと比べてもその差は歴然である。またリード面でも経験の浅さゆえか投手の持ち味を引き出せていないと感じさせることも多く、楽天戦での大野の炎上はそれが分かりやすく露見した例といえよう。

 今日の小笠原の投球に関しても、SNSでは郡司のリードを問題視する声が見受けられた。公式戦に入れば、今とは比べ物にならないほど風当たりも強くなるだろう。しかし本気で正捕手を育てるつもりなら、ちょっとやそっとのミスや首をかしげるようなリードも我慢しなければならない。

 たとえば長嶋監督が阿部慎之助を正捕手に育てるべく1年目から少々の粗には目をつぶって起用し続けたのは有名な話だが、前年リーグ最高を記録した巨人投手陣のチーム防御率(3.34)は、阿部を使った2001年はリーグ最悪の4.45にまで落ち込んでしまった。1位がヤクルトの3.41で、5位が広島の3.82なので、巨人だけが極端に悪い数値を叩き出した事になる。まだファンがそれほど細かい数字をチェックしていない時代だったので良かったが、SNS全盛の現代なら相当叩かれていただろう。

 それでも村田真一を引退に追いやってまで阿部を起用した長嶋の決断が大正解だったことは言うまでもない。

 さて何年か経ったあと、与田監督をはじめとした中日首脳陣の采配はどう評価されるのだろうか。「あの年、色々あったけど郡司を使って良かった」--そうやって振り返る日がいつか来ると、私は信じている。