ちうにちを考える

中日ドラゴンズ歴史研究家が中日の過去、現在、そして未来について持論を発表するブログです

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桂、正捕手レース100歩後退

 「今日はレギュラーを奪いに行かないといけないメンバーで戦って相手を制す。どうかな?と思って見ていたが、完全に力負けだったね」

 

 3日、ナゴヤ球場でおこなわれた西武戦は見るも無残な惨敗に終わった。上記は試合後の与田監督のコメント。確かに主戦級がずらりと名を連ねる西武に対し、こちらは開幕戦でスタメン出場するであろう選手は京田だけで、その京田も4番で出場という極めて変則的なオーダーを組んできた。

 普段からナゴヤ球場で戦い慣れているメンバーの“普段着野球”に期待したのかも知れないが、戦国パ・リーグで連覇を果たした山賊集団はそんな中日サイドの魂胆などお構いなしに「攻・走」で猛威を振るった。

 

 相当の覚悟で臨んだ吉見一起がプレイボール第1球を中村剛也にレフトスタンドへと運ばれると、山井大介も2回4失点と恒例のオープン戦炎上。だが誰よりも無残に山賊の餌食になったのは、この両投手をリードした捕手の桂依央利だった。

 初回の源田壮亮(二盗)に始まり、4回スパンジェンバーグ(二盗)、木村文紀(二盗)、5回金子侑司(二盗)、さらに源田が二盗する間に三塁走者の金子も本盗とやられたい放題で、走りも走られたり6盗塁(本盗含む)。最近ニュースにもなった少年野球の盗塁規制論は「一方的な試合展開を防ぐ」のが目的らしいが、これじゃプロ野球も導入した方が良いのではと本気で考えたくなるほどの、まさしく一方的な“私刑”だった。

 

なまじ映像が見られないだけに、速報アプリに表示される「盗塁成功」の4文字が淡々とした恐怖を演出してたね

 

 

いくら西武が相手といえども……

 

 6盗塁を許した桂だが、同情の余地もある。リードしたのが最速140キロにも満たない吉見と山井では、どんな強肩捕手でも防ぐのは容易ではないだろう。ましてや相手は昨季、12球団最多の134盗塁を記録した西武だ。セ・リーグの最多が100盗塁の阪神なので、当代随一の捕手泣かせのチームである西武に対し、誰がマスクを被っても似たような結果になったのかもしれない。

 とは言え、いくらなんでも走られすぎは否めない。さらに桂はマスクを被ったオープン戦の3試合で11回10自責点とリード面でも惨憺たる数字を残しており、頼みの打撃も無安打と良いとこなし。熾烈さを増す正捕手レースにおいて、ひとまず100歩後退と言ったところか。

 

代わった石橋が無難な内容だっただけに、余計に厳しい評価にならざるを得ないか

 

 

正捕手の目安は立っている

 

 その正捕手レースについて、与田監督の言葉が注目を集めている。29日の試合中継のなかで、解説に来ていた権藤博との掛け合いでの一幕。

 

権藤 ここ数年のポイントはキャッチャーと抑えのピッチャーを決めること。ただ、これだけなんです。その腹積もりはどうですか?

与田 もう自分の中では準備はしております

権藤 準備してるってのじゃなくて、誰を出すのかってのを聞きたいんですよ

与田 それはもう少しお待ち下さい。準備はしております

権藤 抑えのピッチャーを今から公表するってのはいかんけど、キャッチャーは安心させる意味で「これで行く」っていうような目安はないの?

与田 あります!

権藤 私は郡司(裕也)ですけどね

与田 はい。良いチョイスだと思います

 

 核心に迫る権藤と、はぐらかす与田。ただ、開幕マスクの人選に関しては「(目安が)ある」と力強く断言した。

 周囲は“正捕手レース”として見ているが、首脳陣のあいだでは何かしらの方向性が定まっているのだろう。ちなみに今日開幕した2軍の教育リーグに先発出場した郡司は猛打賞3打点の大活躍でチームの勝利に貢献したそうだ。出場機会を確保するために合流した2軍でいきなりの満点回答。この3連戦はいずれも9回フルでマスクを被ることが通達されているという。

 開幕3週間を切った段階で誰よりも優先して試合に出場している時点で、もう答えは出ているようなものかもしれない。